今村昌弘という作家さんのデビュー小説を映画化。
2018年に数々のミステリー小説の賞を獲得した作品です。
・第27回鮎川哲也賞を審査員の満場一致で受賞
・このミステリーがすごい!2018年度版で一位
・週刊文春ミステリーベスト10で一位
・2018 本格ミステリ・ベスト10で一位
めちゃくちゃ凄いやん、この人。まあ私は基本的に本を読まない人間なので、映画化されるまで知らなかったんですけど。
『屍人荘の殺人』あらすじ
神紅大学のミステリー愛好会の明智と葉村は、同じ大学のロックフェス研究会に届いた脅迫状の謎を解明するために合宿に参加する事に。
その情報を聞きつけた同じ大学に通う美少女探偵・剣崎比留子も、とある目的で強引に参加。
そして、合宿先であるペンション「紫湛荘」やフェス会場では不可解な事件が続発する。
【見どころ】迷惑探偵と天才探偵
- 無能な迷惑探偵と本物の天才探偵たちがゾンビ騒動に巻き込まれる
- 剣崎比留子は最初から葉村に目を付けていて、助手にするべく狙っていた
- 映画を観ただけではゾンビウィルスの謎が分からない
【登場人物 / キャスト】面倒な男・明智さん
感想(ネタバレ含む)ホラーと思わせてミステリー
物語は神紅大学に通う学生たちが中心人物となって進むのだけど、関西の有名私立大学との事。
そういえば大学生の学年を〇回生と表現するのは関西に多いそうですね。
関東は〇年生のはず。
京都帝国大学(現在の京都大学)は、当時留年が無かったので〇回目の学生という意味で使われていたみたいです。
現在も〇回生が使われているのは当時の名残であって、〇年生と特に意味の違いは無いそうな。
今となっては意味は同じだけど言い方が違うだけの方言のようなものですかね。
この映画のタイトル『屍人荘』は変換しても漢字が出てこないから、『しじんそう』で検索する人が多いみたいで、Googleの検索結果も【漢字】より【ひらがな】の方が多く検索結果に出てくる。
しかも、ひらがなの方が桁違いに多くヒットする。
まあ別にどうでも良い情報だけど。
明智恭介という人物は洞察力は鋭いけど推理が少しズレている。
途中まではイイ線行くのだけど、最終的に残念な結果になる事が多い男。
頼まれてもいないのに勝手に校内の事件に首を突っ込んで勝手に推理して、勝手な結論を出して周囲に迷惑をかけるという事を繰り返している。
それだけでは飽き足らず、探偵事務所や警察関係者にも人脈を築いては事件に関わろうとする。
時々本当に事件を解決してしまうものだからタチが悪いんですよね、こういう人って。
そんな明智に唯一付き従っているのが、葉村という男。
ミステリー小説が大好きで、入学後はミステリー愛好会に入った一回生。
ただ、今まで読んだ小説で犯人を当てた事は一度もない。
当たるかどうか分からない推理をする占い師のような明智と、小説で犯人を当てた事が無い助手の葉村。
この二人が神紅のホームズと助手のワトソンと呼ばれているそうだけど、ただの皮肉でしょうね。
呼ばれているというより自称しているだけだったかな!?
そんな二人が同じ大学のロックフェス研究会に届いた脅迫状の犯人を突き止めるべく彼らの合宿に参加する事になったのだけど、そこに剣崎比留子という一回生が割り込んでくる。
明智の情報網によると、彼女は今まで警察に協力して数々の難事件を解決してきた私立探偵。
同じ大学に本物の天才がいたとは。
日々の営業活動の結果として築いた人脈だけはスゴイけど、明智さん・・・
ペンション紫湛荘が「屍人荘」になってしまった
明智と葉村と比留子がフェス会場近くに建つ紫湛荘にやって来た時まではこれから何か事件が起こるのだろうという予想はしていたけど、どういう訳かゾンビ騒ぎが発生。
あれ?
この作品ってミステリー系の映画じゃなかったかな・・・ホラー系なの?
ペンションの外でゾンビが彷徨っていて、いつ中に入って来るか分からない状況で今度は内部で殺人事件が発生するというコメディチックな展開が斬新。
屍人荘というのは“死人”と“ゾンビ”の両方にかけているのでしょうかね。
フェス会場は当然大騒ぎになっていて、ゾンビから逃げた人達は紫湛荘に避難。
映画内で何者かが怪しげな液体を注射器で・・・という描写があったけどテロ事件という情報以外は分からない。
詳細を知るには原作小説を読まないといけない。
ネットで調べた限りでは、ある組織が関わっているとか。
ゾンビは非感染の人間の体を噛む事によってウィルスを感染させる。
そして感染した人は、一定時間経過後にゾンビ化する一般的なパターン。
今どきのハリウッド系のゾンビは全速力で走るという恐ろしい進化を遂げているけど、この作品に出てくるのは従来型のノロノロ系ゾンビ。
その点はある意味で助かりましたね。
比留子がロックフェス研究会の合宿に参加したのは、ある目的があっての事。
どちらかと言うと彼女にとって脅迫状の事はどうでも良い。
最後の方で明らかになるけど、探していた“もの”をやっと見つけたという様子。
でも手に入れるにはちょっとしたハードルがある。
おそらく比留子は機会を伺っていたと思うけど、ハードルの方が勝手に自滅ましたがね。
そして次回に続くという感じの終わり方。
そして明智さんは最後まで、ある意味で面白い人でした。
あの人、主人公の一員じゃなかったんですね(笑)
この作品の原作小説は続編があるみたいなので、映画の方も続編をぜひ製作して頂きたい。
もし続編の映画があるとすれば、そこでゾンビの謎も描かれるのかも知れない。
映画内で出てきたゾンビ関係の謎は原作を読まないとよく分からないままなので、気になる方は続編も合わせてチェックしてみてはいかがでしょうか?
原作小説のシリーズには明智さんが主役の回もあります。
まあ良いキャラではあるんだけど・・・
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