海外で130人以上の患者を安楽死させた実在の医師がモデルとなった作品。
中山七里の推理小説が原作で「刑事犬養隼人」シリーズの第4作目に当たります。
取り扱っているテーマが安楽死という難しい内容だけど結局は普通の刑事ドラマとして決着が付くという、途中から雰囲気が変わってしまう作品。
序盤は治る見込みのない病気の患者を平穏に天国に導く存在のように描かれていたけど、最終的なドクター・デスのイメージはただの犯罪者。
『ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE-』あらすじ
闇サイトで依頼を受け終末期の患者を安楽死に導く、通称ドクター・デス。
警視庁の敏腕刑事コンビ・犬養&高千穂は、ある一本の110番通報からその人物の存在を知り捜査を開始。
ドクター・デスは患者や家族にとっての救世主なのか、それともただの猟奇殺人犯か!?
【見どころ】救世主とはちょっと違う
- ドクター・デスがやっている事は本当に救世主と言えるのか!?
- やられたらやり返す強い女、高千穂刑事
- ドクター・デスの主義主張には多くの人が同意できないはず
【登場人物 / キャスト】北川景子の役が結構良かった
感想(ネタバレ含む) | 安楽死に対する考え方
どうなのでしょうか、安楽死って。
別の呼び方として尊厳死とも言いますね。
日本では法律上認められていないので、たとえ患者本人や家族に懇願されたとしても、医師が意図的に命の灯を消す行為は殺人罪に該当するそうです。
スイスやオランダ、そしてアメリカの一部の州では合法だそうで、最近ではニュージーランドで合法化される予定との事。
もしかして世界的にジワジワと合法化の波が来ているのでしょうか!?
キリスト教の影響圏ではプロテスタントが比較的寛容で、カトリックは強く反対しているとか、宗教的な価値観・考え方でも色々な意見があるみたいです。
確かカトリックは中絶が禁止されていたと思いますが、命に対する考え方も宗派によって大きく違うのでしょうね。
仏教の考え方では自ら死を選ぶことは大罪で地獄に堕ちてしまうそうだけど、自ら望み他者(医師など)に手伝ってもらって命の灯を消す行為はどういう扱いになるのか。
正直、考えても実際のところよく分からない。
難しい問題ですな。
治る見込みのない病気と付き合う絶望感や家族へ迷惑をかけているとか本人はマイナスな気持ちになる事が多いけど、周囲の家族からしてみれば、苦しいかも知れないけど一日でも長く生きていてくれるだけで十分な訳ですよ。
だからこそ献身的に看病をするのです。
・・・といっても長期間闘病が続いてしまうと、いつかは気持ち的に限界が来てしまう。
そしていっその事、楽にしてあげたいという気持ちも芽生えてくる。
そんな人たちの心の隙間に入り込んだのがドクター・デスという人物。
ドクター・デスの人物像
この人物の硬骨なところは、自ら運営する闇サイトを通じて患者本人や周囲の家族から依頼を受けるという形で仕事を行うというスタイルをとっているところ。
自ら押しかけて勝手に処置をするのではなくて、あくまでも依頼を受けて動いている。
本人の望みを叶えてあげているだけという考え方の持ち主。
自分の事を救世主とか言っているけど、途中から雲行きが怪しくなっていきます。
最初は病気で苦しんでいる人を救う為に善意の気持ちでやっているような描写だったのに、患者が旅立つ時の表情が美しかったとか変な事を言い始める。
もうこの時点で何かこの人、オカシイ。
自分に酔っているだけのカルト宗教の教祖のような人。
という印象を持ちました。
犬養のセリフで、「お前はただの快楽殺人者だ。」
という部分に激しく同意してしまった。
処置直前の患者本人や看病していた家族から感謝されていたのは事実みたいだけど、この人の目的は結局は自己満足のためのもので、依頼人の気持ちは二の次だったのではないでしょうか。
犬養が打たれた注射の中身は!?
この作品は途中から安楽死というテーマから離れて刑事ドラマ要素が強くなり、犬養がドクター・デスに何らかの薬剤を注射されるのだけど、あれは一体何を打たれたのかいまだに謎。
もうあの時点で犬養刑事は殉職すると思ったのに、なんだかんだで助かった模様。
まあシリーズ物の主役なので、そりゃそうか。
一体あの薬剤は何だったのか、体の自由を一時的に奪う筋弛緩剤的なものかな?
打たれた直後にハァハァとなっていたので、恐らくはそんな感じでしょうか。
この作品を観て一番の疑問点は、上記のシーンです。
ドクター・デスはあの時に犬養の命を奪うことが出来たはずなのに、なぜそうしなかったのか。
何かよく分からん行動だった。
最終的には命を奪おうとしてヤバい薬剤を犬養に打とうとしていたので、最初の注射でやっておけよという話ですよ。
千載一遇のチャンスを逃したドクター・デスは、一般的な刑事ドラマの犯人と同様の末路を辿る事になってしまった。
あれは完全な判断ミスですね。
今回のドクター・デスという人物に関しては、私は救世主とは思わない。
自己陶酔している“ただの危険人物”という印象だった。
これに関しては犬養刑事の人物評価が正しい。
そして全然触れなかったけど、北川景子の存在が大きい作品だった。
気が強い女刑事とかの役柄が結構しっくりくる女優さんですね。
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