
『カイジ ファイナルゲーム』あらすじ
2020年、東京オリンピックの終了を境に急激に景気が悪化していった日本。
金を持つ者のみが優遇され、底辺に生きる者はギリギリの生活を強いられている。
相変わらず自堕落な生活を送っているカイジも底辺から抜け出せずに、派遣会社から支給される安い給料で何とか生き延びていた。
そんなカイジの前にかつて地下労働施設の班長をしていた大槻が現れ、ある提案をする。
【見どころ】沈みゆく泥舟ニッポン
東京オリンピック閉幕以降とんでもない不況に陥った日本でも、何とか生き延びている生命力の強い主人公カイジ。
今回のカイジは自分のためではなく、他人のために活躍する。
【登場人物 / キャスト】大槻班長が社長に出世している
感想(ネタバレ含む) | 今回のカイジは裏方!?
2020年の東京オリンピック終了後に大変な状況になってしまった日本。
実際の歴史ではオリンピックは延期になったけどカイジがいる世界では開催されたみたいで、その後の日本は不況のどん底。
技術系の会社は根こそぎ外資に買収されて、失業率は40%に上るそうです。
アフリカや中南米でもさすがにそこまではひどくないはず。
一体何が起こったんや?
富裕層はどんどん私腹を肥やし、貧しい者はいつまで経っても底辺のまま。
日本国内では失業者によるデモが頻発していて、ニュースで見る治安の悪い外国のようになっています。
そんな中で伊藤カイジはいつも通りの底辺生活。
派遣会社で働いているけど給料の7割をピンハネされる気の毒な労働者。
物価が上がって一本1000円の缶ビールを我慢できずに買ってしまう、どうしようもない男。
相変わらずのダメ人間ですね。
出世した班長・大槻がカイジの前に現れる
なけなしのお金でビールを買って「カァーッ!」と五臓六腑に染み渡らせている所に、大槻という人物が声をかけてくる。

誰かと思えば班長じゃないですか
大槻はカイジが帝愛の地下施設の工事現場で強制労働させられていた時に所属していた班のまとめ役。
とはいえイカサマ賭博や欲望を刺激する言葉の誘惑などで労働者達から搾取していた悪人なので、カイジにとってはどちらかというと敵というイメージ。
この男は1・2作目の両方に登場していて、今回も登場という皆勤賞。
現在は帝愛グループ傘下の会社の社長という立場だそうな。
何の会社か知らないけど、どうせ怪しい事業をやっているのでしょうけどね。
前回登場した一条もそうだけど帝愛グループって、何かしらの実績さえ残せばどんな経歴の人間であっても採用して貰えて、頑張れば幹部になれる会社なんですね。
業務内容が怪しすぎる事ばかりなので良い会社なのかどうか分からないけど、野心を持っている人間にとってはピッタリの社風なのかも知れない。
帝愛グループのトップに君臨する兵藤会長は未だ健在みたいだけど、今回は名前だけしか出てこなかった。
兵藤会長は1作目では姿を現してしっかりとセリフもあったけど、2作目は椅子に座ったまま神のごとく光に包まれて神々しい姿のまま少し喋っただけ。
3作目に至っては名前が出てくるだけ。
利根川は今回未登場。
厳密には一瞬だけ回想で出てくるけど、個人的に利根川がいなかったのが本当に残念。
カイジ以外で三部作全てに登場しているのは、たぶん大槻だけだと思います。
そんな大槻が相変わらず底辺生活のカイジに、とある富豪が主催するゲームへの参加を持ち掛ける。
今回のゲームは帝愛とは別の主催者が行っている「若者救済イベント」。
日本で馬鹿げたゲームを主催しているのは帝愛だけじゃなかったという衝撃の事実が発覚。
そう考えると帝愛グループは悪徳企業という訳ではないのかも知れないと思えてくる。
カイジが生きている日本の現状は失業率が40%ですからね。
まさに沈んでいくだけの泥舟といった感じ。
何でこんな国になってしまったんや・・・。
大富豪・東郷と出会うカイジ
大槻の提案に乗ったカイジは、「なんで俺はまたこんな事をやっているんだ!?」と自己嫌悪に陥りながらもなんとかイベントに勝利。
若者救済イベントの勝者には二つの選択肢が与えられる。
10億円をもらうか、または非常に価値の有る情報を得るか。
いつものカイジなら間違いなく金に飛びつくはずだけど、今回は後者を選択。
コイツ、成長してやがる!
カイジの分析ではイベントに勝利して金を得た者達はみんな命を落としている。
勝利者は公表されるので、金を受け取った後は狩られる対象になるという事ですな。
ダメ人間のくせに鋭い洞察力を持っている男・カイジ。
だからこそ今まで生き抜いて来れたという事でもあるのだけど、ただ欲深いだけかも!?
後者を選択した欲張りカイジは主催者の東郷の元へ。
この東郷という老人は、お金を選択しなかったカイジと別会場での同様イベントの勝者である桐野加奈子の二人を他の人間とは違う特性を持った者として、自分が参加するゲームへの協力者になるように提案。
話によると手持ちの資金を倍に増やして、日本政府がやろうとしている馬鹿げた政策を阻止したいみたいです。
ただ、もはや手遅れのような気がしますがね。
ここまで国内が混乱していたら、もう何をやっても景気が浮上する事はなさそう。
富裕層と底辺層の二極化が顕著で、中間層がいない国になってしまったニッポン。
しかし、カイジは加奈子と共に協力する事になるんですけど。
帝愛ランドが完成していた
東郷が参加しようとしているゲームを主催しているのは帝愛グループ。
しかも会場はカイジが強制労働で作らされていたギャンブル施設の帝愛ランド。
いつの間にか完成していた(笑)
だから大槻は工事現場の班長から、傘下企業の社長に出世できたんですね。
カオスと化した2020年の日本において勝ち組はやりたい放題。
帝愛ランドには10分の9の確率で命を落とす自殺志願者の為のゲームとか、訳の分からないゲームが盛だくさん。
前回は巨大パチンコがメインだったけど、今回のメインは「最後の審判~人間秤~」。
総資産が近い者同士が競い合い、勝者は資産倍増、敗者は一文無しに転落というゲーム。
このゲームは世相を反映していますね。
富裕層がさらに資産を増やすか、底辺に転落するか。
この世界の日本には中間層という言葉は存在しないみたいです。
まさに利根川の人生における信条「勝たなきゃゴミだ!」を地でいく世界。
このゲームで東郷氏は資産を倍増させて政治家たちに賄賂を贈ろうって魂胆。
何も私腹を肥やすためにやろうとしているのではなく、現在政府が成立を目指している法案は日本の破滅を決定づけるトドメの一撃になってしまうので、それを止めたい訳です。
その為にお金が必要なんだけど現在の手持ちでは不足しているので、資産を倍増させて日本を救いたいという愛国心の持ち主。
日本もまだまだ捨てたものではありませんね。
泥舟だと考えていた自分が恥ずかしい。
そもそも、ふざけた法案を通そうとしている政治家たちは何なんだという話。
自分達さえよければ国民の事など、どうでも良い連中ばかり。
そんな奴らに金を渡したところで、どうにかなるとは思えませんけどね。
最終作はいつものカイジと違う!
今回の見どころを大雑把に説明すると、「最後の審判~人間秤~」というゲームに勝利するためにカイジ達が裏方として暗躍する。
今作で何か違和感を感じると思ったら、カイジにクズ要素が無いんですよ。
基本は自堕落で底辺生活なんだけど、大金を入手できるチャンスを得たのに冷静に分析して更なる飛躍を目指したり、とある親子の関係を修復してみたり・・・。
大金を得ても命を狙われては意味が無いと見抜き、東郷の本心を見抜き、自分を狙ってきた連中を説教して逆に味方にするなど今回は完全にデキる男になっている。

何でこんなに成長してしまったんや、カイジ。
なんか調子が狂うわ。
1・2作目は原作を元にしていたけど、最終作だけオリジナル脚本にしたせいでイメージがガラッと変わってしまった。
脚本を書いたのは原作者・福本伸行先生なので何とも言えませんけど。
伊藤カイジという男は追い込まれた時に鋭い洞察力を発揮する特性を持っているんだけど、ひと仕事終えて気が抜けた後はまたダメ人間に戻ってしまう。
簡単に言うとツメが甘い男。
この部分はシリーズを通して共通。
最終的には、アイツほど底辺が似合う男はいないと懐かしい人物に言われて終わります。
確かにそうですね。
カイジが凄いのは、底辺ではあるものの結局生き残ってしまうところ。
バカと天才は紙一重と言いますが、ヤリ手とダメ人間も紙一重なのかも!?
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『カイジ ファイナルゲーム』を視聴できるサブスク
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