中井貴一主演『記憶にございません!』あらすじ・感想 | 政治家にしか使えない魔法の言葉

タイトルの「記憶にございません」という言葉は何度か実際に政治家が使用していたのを国会中継で観た事があります。
官僚の人達も使っていたような・・・。

何にしても便利な言葉ですよね。
「覚えていない」とか「忘れた」と言うと白々しいけど、「記憶にない」という絶妙な言い回し。
この言葉を聞いた人は「コイツ絶対に知っているだろ」と心で思うんだけど、追究しようにも本人は同じ言葉を繰り返すばかりで一向に問答が進展しない。

例えば犯人が警察の取り調べ中に
「記憶にねえなぁ、刑事さん。」と言っても、
「調べはついてんだよ!」で終わり。
現行犯は言い逃れ出来ないし、それ以外のケースはしっかり裏付け捜査をした上で逮捕に踏み切る。
日本の警察は優秀ですからね。

不祥事を起こした芸能人や企業のトップが「記憶にない」と会見で言うと世間から袋叩きに遭う事請け合い。

「記憶にございません」が許されるのは、政治家以外に存在しないでしょうね。

『記憶にございません!』の詳細情報
  • 公開年  : 2019年
  • 上映時間 : 2時間 7分
  • 監督   : 三谷幸喜
  • キャスト : 中井貴一 / ディーン・フジオカ / 石田ゆり子 / 小池栄子 / 斉藤由貴 / 吉田羊 / 木村佳乃 / 山口崇 / 有働由美子 / 天海祐希 / 草刈正雄 / 佐藤浩市 ほか

『記憶にございません!』あらすじ

演説中に傍聴人からの投石が頭に当たり、その衝撃で政治家になってからの記憶を失ってしまった男が、事情を知る僅かな人達に助けられながら記憶喪失を周囲に悟られないように奮闘する。

しかし記憶を失う前の本人はやりたい放題だったらしく、一筋縄ではいかない。

【見どころ】口止め料の値引きを要求する総理大臣

  • 黒田と古郡のやり取りが面白い
  • 寿賀さんは何でも知っている!?
  • 大臣たちはみんな悪巧みに余念がない

【登場人物 / キャスト】悪徳政治家が善人に変貌

  • 黒田啓介(中井貴一)
    傍若無人な振る舞いで支持率が2.3%の第127代内閣総理大臣。
    裏ではやっちゃいけない事をやりまくる悪徳政治家の代名詞なような男。
    ある日の演説中に何者かの投石が頭に当たり、政治に関する一切を忘れてしまった。
  • 井坂(ディーン・フジオカ)
    記憶喪失になった啓介を補佐する首相秘書官。
  • 黒田聡子(石田ゆり子)
    立場を利用して誰が見ているのか分からない妙なテレビ番組に出演している啓介の妻。
  • 黒田篤彦(濱田龍臣)
    悪徳政治家の父に嫌悪感を抱いている、啓介の一人息子。
  • 番場のぞみ(小池栄子)
    啓介を支える数少ない味方である事務秘書官。
  • 野々宮万作(迫田孝也)
    啓介を支える秘書官補。
  • 寿賀さん(斉藤由貴)
    歴代の総理大臣に仕えるマイペースな人物で、首相官邸の内部に詳しい首相官邸料理人。
  • 山西あかね(吉田羊)
    野党第二党の党首。
  • 大関平太郎(田中圭)
    セキュリティ・ポリス(SP)に憧れる警察官。
  • 南条実(寺島進)
    演説中の啓介に投石をした犯人。
  • 小野田治(梶原善)
    啓介の小学校からの幼馴染みの建設会社社長。
  • 鱒淵影虎(ROLLY)
    聡子の兄で、啓介の義兄の衆議院議員。
  • スーザン・セントジェームス・ナリカワ(木村佳乃)
    米国初の日系女性大統領。
  • 鶴丸大悟(草刈正雄)
    内閣官房長官で国民の人気が高い。
  • 古郡祐(佐藤浩市)
    元政治記者で現在はフリーライター。

感想(ネタバレ含む)何故かみんなガラケーを使っている

主人公の黒田啓介は第127代内閣総理大臣。
設定的にかなり先の未来の話かと思いきや、作中で使用している携帯電話はスマホではなく全員がガラケー。

みんなが揃ってガラケーである意味は最後まで分からなかった。
たぶん特に意味はない様な気がします。

投石により頭にショックを受けて気を失った後に病院のベッドで目覚めた啓介。
こっそり病室を抜け出しSP達の追跡を振り切って、パジャマ姿で夜の街を彷徨う。

たごやま
たごやま

正義感の強そうなリーダーは総理を嫌っているような表情だったし、SPの人達絶対わざと総理を病院から逃がしたやろ!
見つけられないはずないやん。
世間の嫌われ者の総理大臣を野ざらしにして、楽しんでいたんと違うか?

すれ違ったサラリーマンや定食屋の主人にも煙たがられる啓介。
そりゃ支持率が2.3%ですからね。

逆に支持をしている人って何者でしょうか。

黒田総理の支持層はおそらく賄賂を贈って一緒に甘い汁を吸おうと企んでいる企業経営者たち。
数は少ないけど社会的影響力は一般人とは比較にならない位に強大なので、内閣が低支持率であっても彼らと結託している限りは大丈夫という訳ですよ。

周囲の大臣たちも「アレをアレして、アレという感じで・・・」と悪巧みに余念がない。

途上国の汚職にまみれた悪徳政治家集団と一緒やないか!

しかしですよ、啓介は記憶を失ったばかりではなく性格まで今までとは真逆の真面目な男に変貌。

事情を知る人秘書官たちが奮闘

政治家になってからの一切の事を忘れてしまった啓介の秘密を知るのは三人の秘書だけ。

おしゃべりな妻の聡子にもこの事を内緒にして、色々と作戦を練る。

秘書たちが頑張っているのは良いんだけど、記憶を失う前の啓介はフリーライターの古郡こごおりという男にある件で脅されて多額の口止め料を要求されていた。
この事は秘書たちも知らない一件。

権力者がスキャンダルをネタに脅されるのは良くある話だけど、当の本人が自分が一体どんなネタで強請られているのか全く分かっていない(笑)
古郡は啓介が記憶喪失だと知らないものだから、とぼけて金額を減額する作戦だと思い込んでいてコント的なやり取りが面白い。

一方は本当に何も知らないのに、もう一方は相手がとぼけていると思って「そっちがそういう態度ならどうなっても知らないよ?」と噛み合わないやり取りが続く。

なぜ自分が強請られているのか分かっていないのに値引き交渉をする総理大臣。
最終的に快気祝いとしてほんのちょっとだけ値引きして貰えた。

中井貴一と佐藤浩市のすれ違いコントのシーンはこの映画の見どころの一つです。

記憶を失う前の啓介が低支持率でも内閣を存続してやり放題できたのは、鶴丸官房長官のお陰。
そもそも啓介が総理大臣の職に就けたのも彼の力の賜物。
でも本人はその事すら忘れているんですけど。

この鶴丸大悟という政治家が、いわゆるラスボスという存在なんですよね。

つまりですよ、今までとは正反対の真面目な総理大臣になろうとしている啓介は悪徳政治家の元締めのような鶴丸をなんとかしなければならない。

そこで、自分をどんなネタで脅しているのか全く見当がついていない状態だけど、その事はいったん棚上げして鶴丸を敵に回す度胸がありそうな“金で動く男”古郡さんに彼の弱点の調査を依頼。
まあ総理大臣を脅迫するような人物ですからね。

政治は何が正解なのか分からない

鶴丸官房長官の考えは大企業が潤えば枝にぶら下がっている中小企業が潤って、最終的に末端までも潤うという考え方。

生まれ変わった黒田総理の考えは、国民一人一人の声を聴いて正しい政治をする事。
記憶喪失という事情を知らない人が聞いたら、今度は一体何を企んでいるのかと疑ってしまう。
一度信用を失ったら、取り戻すのは本当に難しい。

そもそもこの人は最初から信用なんてあったのかどうか疑問だけど。

正直なところ万人が喜ぶような政策なんて無いと思う。
頂点の大きい部分をまず手当てしてから順に下を見ていけば良いのか、小さな事からコツコツと積み上げていけば良いのか、結局何が正解なのかよく分かりません。
政治って難しいですね。

たぶん政治家の先生本人も、何が正しいのか実は分かっていないのかも!?

もうね、適当にアレをアレして、アレという感じにしておけば大丈夫という事ですよ(笑)
何が正解なのかは、やってみないと分からない。

投石の衝撃で記憶を失った啓介だけど、あるシーンで別の衝撃を受けていた。
最終的に記憶は戻ったのでしょうか!?

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