いくら出版社に原稿を送っても一向に興味を示してもらえず、自分の人生に絶望して何度も自殺を試みたけど何故かいつも生還してしまう不死身疑惑の男・ウィリアム。
橋から飛び降りたらちょうど船が通過中だったり、首を吊ったらロープの強度が弱くて床に落下。
ある意味で悪運が強い感じですね。
そんな人生に絶望している小説家志望のウィリアムが、殺し屋を名乗る男に名刺を貰うわけですよ。
その男は自殺の名所を巡って客を探していた模様。
自分で出来ない時は他人にやってもらうのも、一つの手ではある。
ましてやこの世を去ろうとしているのに、何度やっても上手くいかない場合は尚更。
『やっぱり契約破棄していいですか!?』あらすじ
自殺願望を持つ小説家志望の男がクビ寸前の殺し屋に自分の暗殺を依頼したが、その後事態が好転して契約の破棄を望むが、一度結んだ契約は覆らないとして命を狙われてしまう。
死にたくない男と殺さないとクビになってしまう男が巻き起こす、イギリス発のコメディ。
【見どころ】暗殺依頼の契約破棄できない
- 暗殺者の組合員にはノルマがある
- 一度結んだ暗殺契約はクーリングオフ出来ない
- チャンスは絶望の中に隠れている
【登場人物 / キャスト】未来が見えてきたのに暗殺者に狙われる若者
感想(ネタバレ含む)なかなか死ねない自殺願望の男
『鍵泥棒のメソッド』という映画で貧乏役者の桜井が自宅アパートで首つりを試みて、ウィリアムと同様にロープの強度が足りずに未遂に終わってしまったシーンがあったけれど、なんだか似ている。
真剣さが足りないところや何をするのも中途半端なところとか。
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つまりウィリアムは命が助かって幸運な男ではなく、単に何をやっても中途半端な詰めが甘いタイプという事でしょうかね。
自分でこの世から退場する事を諦めた彼は、男と契約を締結します。
まあこういう事はプロに任せておけば間違いありませんからね。
代金の入金が確認され次第、一週間以内に仕事が遂行されるそうで、いつどのタイミングでという事は明かされないルール。
それにしても、自分で退場を望む人にセールスをかける暗殺者って・・・。
今は時代が変わって、そういう事にも手を出さないとやっていけないのでしょうかね。
話によると色々とオプションがあるみたいでカタログを見せられていたけど、ウィリアムは貯金が少ないので2,000ポンドで契約。
日本円にして約35万くらいでしょうか。
(2023/11 時点のレート)
本当は道路に飛び出した子供が車に轢かれそうになったところを助けて、身代わりになってカッコよく退場したかったのだけど予算の関係で断念。
実際に契約したプランは、ある日突然狙撃されるというシンプルなもの。
退場するにも予算が厳しい場合は希望に沿った方法が選べないなんて、世知辛い世の中ですね。
男は英国暗殺者組合の会員
まさか英国暗殺者組合なんて組織があろうとは。
こういう仕事って裏の世界で正体も分からない人たちが暗躍するイメージだけど、どうやらこの組合は事務局があって銃などの仕事道具の貸し出しもやっている。
そして所属している会員にはノルマがあるみたいで、ウィリアムに声をかけた男レスリー・オニールはあと一人で今期のノルマを達成という状況。
一カ月単位なのか、もう少し長期で区切られているのか不明だけど、定期的に一定のノルマをこなさないといけない営業マンのような世界らしい。
オニールはたぶん60代くらいなので引退して余生を過ごせば良い年齢だけど、本人が仕事が好きで辞めたくない様子。
この男は新聞に載るような華麗な仕事をこなしてきた過去を持つけど、現在はノルマをこなすのが精いっぱいの窓際営業マンのような立場。
オニールの妻は夫が仕事を引退したら世界一周旅行を楽しみたいのだけど、本人がまだ意欲満々なのでその意思を尊重する献身的な女性。
いやその前に奥さん、アンタ旦那さんがどういう仕事をしているか知った上で世界一周旅行なんて言っているみたいだけど、暗殺で稼いだ金で遊びに行く気かい!
なかなかの強者やな。
もしかするとイギリスには有名なスパイ組織があるから、オニールのような仕事も日本人が持つイメージとは少し違って、数ある仕事のうちの一つとして捉えているのかも知れない。
世界は広いですからね、国が違えば価値観も違ってくるという事でしょうか。
日本では夫の職業が忍者だと説明しても誰も驚かないのと同様に、イギリスでは夫が暗殺者だとしても普通なのかも!?
そんな訳ないか(笑)
状況が変わり契約の破棄を望むウィリアム
オニールと契約を結んだウィリアムだけど、その直後に出版社から連絡があり、作品を出版したいとの事。
人生とは得てしてこういうものですよ。
どうしてこのタイミングで!?という時に限って状況が変わるんですよね。
しかし一旦契約してしまったからには破棄できません。
編集者のエリーはクーリングオフ的な事が可能だと主張するけど、内容が内容だけに。
この時点で死にたくない男ウィリアムと、ノルマをこなすために彼に死んでもらわなければならないオニールとの追いかけっこが開始される。
そこに英国暗殺者組合の現在のエースと組合のボスが絡んできて事態は変な方向に、という展開。
ハリウッドのコメディは往々にしてハッピーエンドになる事が多いけど、ヨーロッパのコメディ映画は一味違います。
今回のイギリス発のブラック・コメディは一応伏線を回収して終わる。
しかしあの後どうなったのかは想像するしかない。
ご都合主義のアメリカ映画と違って、イギリスの映画はリアリティがあるのが特徴ですね。
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