高良健吾主演『横道世之介』あらすじ・感想 | 世之介と祥子が別れた理由は?

吉田修一(著)の同名小説を映画化した作品。

160分もあって長いのだけど、全然気にせず観ていられます。

どこにでもいそうだけど実は唯一無二な男・横道世之介から周囲が勝手に影響を受けていきます。
本人は普通に生きているだけなんですけどね。

『横道世之介』の詳細情報
  • 公開年  : 2013年
  • 上映時間 : 2時間 40分
  • 監督   : 沖田修一
  • キャスト : 高良健吾 / 吉高由里子 / 池松壮亮 / 伊藤歩 / 柄本佑 / 綾野剛 / 江口のり子 / ムロツヨシ / 井浦新 ほか

『横道世之介』あらすじ

恋人・友人・年上の女性など様々な人との交流を通して、お人好しで純朴な青年・横道世之介が成長していく青春ストーリー。

時代は1987年。
長崎から上京して大学生活をスタートさせた直後からの1年間が描かれます。

【見どころ】誰からも愛される男・横道世之介

  • 特に何もしていないのに、その場にいるだけで安心をもたらす男・世之介
  • 隣室の室田恵介は実はヤリ手カメラマン
  • 隣の隣に住む小暮京子は世之介の本質を正確に見極める女

【主要登場人物 / キャスト】祥子は想像を絶する金持ちお嬢様

  • 横道世之介(高良健吾)
    長崎から東京に出て来た純朴な大学生。
    お人好しで周囲に流されやすい性格。
  • 倉持一平(池松壮亮)
    世之介が入学式当日に出会い最初に友人になった同級生。
  • 阿久津唯(朝倉あき)
    世之介と倉持と共にサンバサークルに入った同級生。
  • 与謝野祥子(吉高由里子)
    裕福な家庭のお嬢様。
    世之介に好意を持ち、交際を始める。
  • 片瀬千春(伊藤歩)
    世之介が東京で知り合いひと目惚れした大人の女性。
  • 加藤雄介(綾野剛)
    世之介の同級生。
    とある秘密をカミングアウトするが、世之介は意に介さず接し方も変わらなかった。
  • 小暮京子(江口のりこ)
    世之介のアパートの隣の隣に住む女性。
  • 室田恵介(井浦新)
    世之介のアパートの隣人でカメラマン。

感想(ネタバレ含む)自分を思い出して笑顔になってもらえる幸せ

大学生になった直後から1年間に起きた横道世之介のストーリーがメインですが、大人になった現在の関係者が過去を回想して世之介の事を懐かしむシーンが何度か挿入されます。

つまり大学時代の友人たちは、大人になってからはそれぞれの道を歩んで世之介との付き合いがなくなったという事になります。

学生時代の友人と疎遠になるのは普通の事だけど、衝撃的なのが現在は世之介がとある理由でこの世を去ってしまったという事実ですよ。

自ら死を選んだのではなくて、年齢を重ねても変わらなかった“お人好しな性格”が原因。

でも、2時間40分の作品を観終えた直後は悲しい事なのになぜか爽やかで清々しい不思議な気持ちでした。

そもそも彼がいなくなった気がしないんですよね。

各々の心の中で存在し続ける、横道世之介はそんな人物。

その場にいるだけで周囲の雰囲気が和む愛されキャラというやつですね。

とにかくイイ奴なんですよ。
誰にでも分け隔てなく接するし、お金を貸してくれるし(笑)

あまり深く考えず普通に生きているだけなのに、世之介の振る舞いに助けられたり勇気づけられたり、本人の関知しないところで周囲の人が勝手に影響を受けているのが凄いです。

天然のカリスマ性を持っている人物はごく稀に存在しますが、一生で一度も出会わないという人がほとんどだと思います。

そんな中で横道世之介という男に出会えた人は、それだけで幸運なのでしょう。

大学の同級生だった加藤が卒業して十数年経過してから世之介の事をふと思い出して、
あいつに会ったというだけで得をした気がする
という事を言っていましたが、彼も世之介に幸せを分けてもらった一人です。

思い出すだけで自然と笑みがこぼれてしまう人物が心の中にいるというだけで、羨ましいですよね。

世之介と祥子はなぜ別れたのか

超お金持ちのお嬢様の祥子と付き合っていた世之介だけど、結婚に至る事なく別れてしまったようです。

世之介がこの世を去ったのは大学を卒業してから十数年後なので死別という事ではありません。
映画では別れた理由は描かれなかったけど、世間知らず同士のカップルだった二人が、それぞれに将来進む道を見定めた事で精神的に成長して別れを選んだのではないでしょうか。

原作によると理由は些細なケンカみたいだけど、それで別れるという事は価値観が変わって共感できる事と出来ない事がハッキリして、別の道を歩む運命だったのだと思います。

それはそれで良いのではないでしょうかね。

恋愛経験も人生における勉強の一環だし、良い思い出になりますよね。

世之介のその後の人生は原作小説で分かる

映画は世之介が大学に入学してから1年間の事しか描かれていませんが原作小説では三部作となっていて、もう少し先のエピソードを知る事ができます。

  • 1作目は大学1年生時代の一年間
  • 2作目は大学を卒業してからのフリーター時代
  • 3作目は報道カメラマンとなった39歳

紙書籍版はAmazon通販や街の本屋さんで入手できますが、ネット上で電子書籍を購入すると便利です。

関連記事 電子書籍サービス「7選」を比較・解説

映画『横道世之介』を配信しているサブスク

動画配信のイメージが強いサブスクの「U-NEXT」は電子書籍も配信しているので、『横道世之介』の原作小説を映画と一緒に楽しむ事ができます。

電子書籍を読むにはポイントを利用する必要がありますが、「U-NEXT」は無料期間が終了して正規会員になると毎月1,200円分のポイントが自動的に付与されるので、上手くやりくりすると小説の三部作全てを追加料金なしで読破する事も可能です。

※動画は「見放題対象作品」と「追加料金が必要なレンタル作品」があるので注意してください。

世之介のようにいなくなった後でも関係者の心に存在し続けているキャラクターと言えば、『君の膵臓を食べたい』の桜良を思い出します。
個人的には何となく実写版の方が『横道世之介』に近い気がする。

関連記事 実写版『君の膵臓をたべたい』あらすじ・感想

原作にほぼ忠実なのはアニメ版です。

関連記事 アニメ版『君の膵臓をたべたい』あらすじ・感想