
公開年 : 2019年
上映時間 : 1時間 59分
監督 : 木村ひさし
キャスト : 西島秀俊 / 西田敏行 / 伊藤淳史 / 葵わかな / 葉山奨之 / 池田鉄洋 / 佐野和真 / 前田航基 / 戸田昌宏 / 猪野学 / 加治将樹 / 川島潤哉 / 福山翔大 / 高木ブー / 佐藤蛾次郎 / 桜井日奈子 / 白竜 / 光石研 / 中尾彬/ 生瀬勝久 ほか
『任侠学園』登場人物(キャスト)
■ 日村誠司(西島秀俊)
「阿岐本組」代貸(ナンバー2)。
組長の社会貢献に振り回される苦労人。
組長の命令で学園の理事に就任して、学校の立て直しに奔走。
■ 阿岐本雄蔵(西田敏行)
任侠団体「阿岐本組」組長。
義理と人情を重んじる昔気質の性格で、社会貢献をすることが生きがい。
学園の理事長に就任。
■ 二之宮稔(伊藤淳史)
薬物中毒者だったところを組長に拾われた「阿岐本組」組員。
弟分の徹によく服をあげるけど、一度も着てもらえない。
■ 三橋健一(池田鉄洋)
料理が得意な「阿岐本組」組員。
大卒で入ったので日村より年上だけど立場は下。
インテリだけど武闘派な一面も。
■ 志村真吉(佐野和真)
「阿岐本組」組員。
金髪でチャラそうに見えるけど、一本筋が通った性格。
■ 市村徹(前田航基)
情報収集担当の「阿岐本組」組員。
ITを駆使するデキる男。
■ 沢田ちひろ(葵わかな)
学園一の問題児で口が悪い。
夜な夜な学校に忍び込んで何かをやっている模様。
■ 黒谷祐樹(葉山奨之)
ちひろのファンのカメラ小僧の生徒。
■ 永神健太郎(中尾彬)
阿岐本の兄弟分で厄介事を押し付ける張本人。
任侠団体「永神組」組長。
■ 綾小路重里(生瀬勝久)
事なかれ主義の校長先生。
プロ級の将棋の腕前を持つ。
■ 小日向美咲(桜井日奈子)
優等生だけど、何やら秘密を抱えている様子。
ちひろとは親友だったけど今は疎遠になっている。
■ 小日向泰造(光石研)
会社経営者で美咲の父。
学校の保護者会代表を務めている。
■ 唐沢隼人(白竜)
巨大組織「隼勇会」の組長。
あらすじ | 兄弟分に上手く利用される組長
義理人情に厚く社会貢献に目が無い阿岐本組の組長は兄弟分の組長から、経営難の私立学校の再建を依頼される。
いつも組長に振り回されてばかりのナンバー2・日村は子分達と共に学校の立て直しに奔走する。
感想(ネタバレ含む) | 阿岐本組の熱い情熱で周囲が変わる
昔ながらの任侠団体「阿岐本組」は地元の商店街の人達から慕われている、いわゆる地域の裏の顔役。
力で従わせるのではなく、お互いに心を通じ合わせて共存共栄する事がモットー。
今ではすっかりそんな人たちは姿を消したけど、探せばどこかにいるのでしょうかね。
別に探す必要はないんですけど。
阿岐本組長は社会貢献が大好きな人で、人の役に立つ事をしたくてたまらない性格。
その性格に付け込んで厄介事を次々と持ってくるのが、組長の兄弟分の永神のオジキ。
日村は自分の親分が便利に使われている事に気付いているみたいだけど、立場上、文句を言うことが出来ない。
親分の言う事は絶対の上下関係が厳しい世界ですからね。
阿岐本組 掟 三箇条
一、カタギには手を出さない
一、勝負は正々堂々と
一、出されたものは残さず食べる
なんだか武士みたい。
この掟は絶対に守らなくてはならず、例えば組長が買ってくれた豚の顔の丸焼きも残さず食べないといけない。
組長が行きつけの中華料理屋のメニューは春巻きとかが美味しいんだけど、なぜかお土産に変な物を買ってくる癖があるみたいです。
食べ物に関しては、下の立場の人が兄貴分に押し付けられて苦労する羽目になるんでしょうね。
阿岐本組は総勢6人しかいない弱小団体で、指定暴力団でもない。
とにかく世のため人の為に働いて、少しだけ報酬を受け取っている。
商店街の人達も仕事を回して貰ったりしているので、みんな組に好意的な印象を持っている。
社会的にはアレな存在なんだけど、必要悪というやつでしょうか。
この作品は今野敏という作家さんの任侠シリーズが原作で、今回はシリーズ二作目を映画化。
原作の第一弾は倒産寸前の出版社の経営再建に奔走、そして今回は私立学園の経営再建。
映画の作中で永神のオジキが厄介事を持ち込むのが初めてではない感じだったので、原作通りの順番かどうかは分からないけど設定上過去に色々と阿岐本組が経営再建をした会社がある様子。
原作シリーズでは出版社・銭湯・病院・映画館などの物語があります。
校長曰く、可もなく不可もなくの学校
組長が理事長、日村が理事となって学校の経営再建に乗り出す事になった阿岐本組。
早速校長先生に話を聞いてみると、特に校内に問題はなく本当に普通の学校との事。
その割には部活が全面廃止になっているし、夜な夜な何者かが侵入して学校のガラスを割る事件が発生している模様。
舞台は高校なんだけど、スポーツ部や文化部を問わずに部活動が全て廃止されている時点で異常ですよ。
保護者からの要望でそうなったみたいだけど、生徒たちはどう思っているのか・・・。
強豪とかじゃなくても高校時代に部活動を通じて一生の思い出ができたという人も多いはずだし、恩師や親友やもしかすると将来の結婚相手なんかと出会ったりするのが部活動でしょうが!
ちなみに私は帰宅部員だったので、高校時代はバイトばっかりしていましたけど。
まあ私の過去はどうでも良いんですが、情報では野球部の暴力事件がきっかけで部活動が廃止になったという話。
とりあえず部活動の事は置いておいてガラスを割る犯人探しに着手する阿岐本組の面々。
そこで犯人として浮上したのが沢田ちひろという女子生徒。
結局は冤罪で犯人は別にいたんだけど、この件がきっかけでちひろや他の生徒を味方にする事に成功。
最初は反抗的だった生徒たちも、正面から向き合って話をしてくれる日村達に対して親近感を覚え始める。
この反抗的だった連中がガラスの件に関わっていたんだけど最後はビビッて正座。
生徒たちの前で小指を切り落とす意味で落とし前とか言ったり、生徒を殴らない代わりに子分の真吉を殴って見せたり、ヤクザの怖い部分を見せつけられた現代っ子の高校生達はあっという間に降参した訳ですよ。
そして真吉には後になって血が付いた服のクリーニング代や治療費を渡す優しい兄貴分の日村さん。
カタギには手を出さないという掟があるので必要な場合は子分を殴っているところを相手に見せつけてビビらせる手法をとるけど、上司としては最高の人ですね。
日村さんはいつだって真剣な熱い人なんですよ。
しかし熱いのは日村さんだけではありません。
組長だって節目節目に登場して、ビシッと話をまとめる重要な役回り。
ただの社会奉仕が好きな道楽じじいだと思ったら大間違い(笑)
このおやっさんだから、日村さんたち子分は付いて行くんですよね。
ただ、ちょっと人が良すぎるところが周囲の悩みの種。
日村さんも良いですが、西島秀俊が部下を温かく見守る最高の上司を演じている『オズランド』もオススメ。
保護者代表の怪しい男
ガラスを割った生徒たちの中で一人だけ白旗を上げなかった生徒がいて、母親同伴で学校にやって来た。
どうやら日村さんの刺青に気付いたらしく、自分がやった事を棚に上げて親を味方につけたみたいです。

最悪やなコイツ、ロクな大人にならんやろな。
ガラスを割ったことを反省しないばかりか、新理事がヤクザだと親に訴えて学校から追放しようと画策。
本来であれば退学処分になってもおかしくなかったのに、温情をかけてくれた日村さんを・・・
そしてこの親子に同伴してやって来たのが保護者会代表の小日向という男。
この時は阿岐本組長の漢気のお陰で事なきを得たけど、この保護者代表の男が曲者。
校長の話では以前に学校の経営権の譲渡を迫っていたそうで、どうも怪しい。
まあ娘を学園に通わせている保護者なのは間違いないのだけど。
という訳で阿岐本組の情報収集担当の徹がITを駆使して調査してみると、黒い交際が発覚。
なぜ学園を狙っているのかも判明。
それにしても徹がスゴ過ぎる。
小日向の会社にマルウェア(ウィルス)を仕込んだメールを送ったりとか。
阿岐本組って組長込みで6人の弱小勢力なのに、とんでもない技術者を抱え込んどるな。
日村さんもリーダーシップのある良い兄貴分だし、もしかすると他のメンバーも何かの一芸に秀でているのかも。
そんな事よりも小日向のバックにはヤバイ組織が控えているという話なんですよ、これが。
永神のオジキも面倒な案件を持ってくれたものですね。
ところで、オジキは何で自分でやらないんでしょうかね。
もしかすると裏で資金援助くらいはしてくれているのかも知れない。
作中でそういった描写は無かったけど、阿岐本組が妙にお金を持っているのが気になります。
任侠シリーズの順番
義理・人情を重んじる全員善人の阿岐本組の面々が、世のため人の為に奔走する任侠シリーズの原作本をご紹介。
原作者は今野 敏。
※諸事情で取り扱いが停止になっている場があります。
(1) 任侠書房
倒産寸前の出版社の経営を引き継いだ阿岐本組が奔走。
(2) 任侠学園(この記事の作品)
問題だらけの私立高校の運営に乗り出す。
今回の映画の原作。
(3) 任侠病院
潰れかけの病院の再建に乗り出す阿岐本組の前に関西ヤクザの大組織の影が。
(4) 任侠浴場
今度は銭湯の立て直し。
もはや組長の道楽だけど、日村さんたちは奔走せざるを得ない。
(5) 任侠シネマ
北千住にある映画館の再建。
マル暴に睨まれながらも頑張る日村さんたち。
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