主人公の女性・波平久瑠美は都内の実家在住で、大学卒業後は年上の恋人・俊郎が勤務している会社に入社してずっと地元で生活していこうと考えていたのに、入社後の配属先は熊本の遊園地。
全国展開している会社に入社したら、そりゃ希望通りという訳には行きませんよね。
最近は遠方への転勤を嫌がる若者に配慮して、自宅から通勤できる範囲内での異動に留める企業も増えて来たみたいですが、波平が入社した企業はそういう配慮は無いみたいです。
『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』あらすじ
超一流ホテルチェーンに就職したものの、系列会社が運営している地方の遊園地へ配属された新人の波平久留美は、社会人として様々な経験を重ねていく内に働く楽しさを見出していく。
当初は理想と現実のギャップに不満を感じていたの波平が、周囲から“魔法使い”と呼ばれる上司の小塚の影響で新社会人として前向きに成長していく姿が描かれる。
【見どころ】新社会人の成長物語
- 不本意な配属先で不貞腐れていた新社会人が、尊敬できる上司に出会い変わっていく
- 小塚さんは理想の上司
- 俊郎は少し残念な青年
【登場人物 / キャスト】小塚さんのような上司と出会えたら最高です
感想(ネタバレ含む) 理想と現実とのギャップに困惑する新社会人
波平(なみひら)という名字を“なみへい”と読み間違われてユニフォームに刺繍されてしまうといったハプニングから始まった新社会人としての生活。
いきなりケチが付いてしまったけど、これもある意味では洗礼というやつですね。
周囲から“なみへい”呼ばわりされる事は諦めがついたみたいだけど、グリーンランドで働き始めてから自分はこんな事をするために大学を出たのではないと上司に不満をぶつけてしまう。
社会に出たばかりの新人だけど有名私立大学出身の波平は、新人の仕事として与えられた園内のゴミ拾いや動物のフンの世話をやらされる事に不満を持っている訳です。
エリート志向の新人にありがちな悪い傾向ですな。
それに対してもう一人の新人の吉村は、与えられた仕事を黙々とこなしていく対照的な存在。
しかも東大出身。
これはちょっと、なみへい・・・カッコ悪いな。
彼女は本社に勤務している彼氏の俊郎に電話で愚痴るけど、もう学生じゃないんだからと大人の意見で諫める器の大きい“としクン”。
この時点では恋人の俊郎はエリートサラリーマンで大人の男性といった感じで好印象だったのに、後々イメージが失墜します。
西島秀俊が演じる小塚慶彦という人物が、色々な意味で大きな男なんですよ。
仕事の不満を堂々とぶつけてくる生意気な新人の波平に対しても怒ること無く、いつも笑顔で仕事を割り振るデキる上司。
彼はグリーンパークに就職して以来、数々の企画を成功させて業績アップに貢献してきた天才社員。
部下が失敗しそうになったらカバーしてくれるし、仕事を頑張ったら全力で褒めてくれるし、小塚さんは最高の上司です。
責任感が芽生え始めた新社会人・なみへい
そんな小塚さんの影響で社会人としての自覚が芽生え始めたなみへいは、仕事に対する姿勢に変化が生じ始めます。
不満を並べていも仕方が無い。
大切なのは現実をしっかり見つめて、自分が置かれている状況で頑張る。
シンプルにそれだけ。
そう考えるようになった彼女は、ようやく仕事の楽しさや充実感に目覚めた模様。
新人が働き甲斐を見出すように導くことが上司の重要な仕事。
ここまで来れば、あとは勝手に伸びていきます。
まあ、それがとてつもなく難しいのですが・・・。
ある日、仕事が充実してきてやる気に満ち溢れるなみへいに水を差す出来事が発生。
東京から彼女に会いにやって来た俊郎が、グリーンパークの悪口を言ったり彼女に仕事を辞めて帰ってきて欲しいと言い出したり、当初の大人の男像からかけ離れた感じに変貌。
どうやら遠距離恋愛に耐えきれなくなったみたいで、自分勝手な言い分を並べ始めます。
としクン、それはちょっとアカンよ。
なみへいが仕事にやりがいを感じているのに、何でそんな事を言うんや!?
最初は彼女を大きく包み込む優しい彼氏だと思ってたのに、最早ただの勝手者。
小塚さんと比較すると、尚更としクンのスケールの小ささが際立ってしまう。
これは将来結婚しても、上手くいかないパターンですな。
といっても前半のなみへいは俊郎と同様の価値観や考え方を持っていたので、もっと早い段階で迎えに来ていれば、遊園地の仕事を辞めてさっさと帰ってしまったかもしれない。
俊郎が熊本に来た頃には、彼女の価値観はすっかり変わってしまっていた。
厳密には社会人として成長したという事ですね。
という訳で、としクンは退場!
これは仕方が無い。
価値観の相違は、カップルが別れる大きな要因ですからね。
だからといって、小塚さんと恋愛関係になるとかそういう展開ではありません。
そもそも小塚さんは既に両親が他界している事以外の情報がない。
独身なのか既婚者なのかも分からない。
若い頃に色々なところに行って最後にグリーンランドに行き着いたそうだけど一体何者なのでしょうかね、小塚さんは。
もう少し彼の過去を掘り下げて欲しかった。
後半はすっかり遊園地のスタッフとしての自覚が芽生えた波平久瑠美。
もはや左胸のネーム刺繍はなみへいのままで堂々としています。
成長の跡が見えますな。
この映画は新社会人が自覚を持つまでの過程と、彼女の上司であり包容力の塊である器の大きな男・小塚さんを楽しむ物語です。
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西島秀俊が面倒見の良いアニキを演じる『任侠学園』も面白いですよ。
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