細田守監督『竜とそばかすの姫』あらすじ・感想 | 本質は少女の成長物語

世界で50億人が利用しているバーチャル空間「U」。

現在の地球上の人類の7割くらいが参加している事になる。
この作品は近未来の話かも知れないけど、スゴイですね。

そのバーチャル空間で繰り広げられる「美女と野獣」のような物語。

『竜とそばかすの姫』の詳細情報
  • 公開年  : 2021年
  • 上映時間 : 2時間 1分
  • 監督   : 細田守
  • キャスト : 中村佳穂 / 成田凌 / 染谷将太 / 玉城ティナ / 幾田りら / 森川智之 / 津田健次郎 / 小山茉美 / 宮野真守 / 森山良子 / 清水ミチコ / 坂本冬美 / 岩崎良美 / 中尾幸世 / 役所広司 / 石黒賢 / 佐藤健 ほか

『竜とそばかすの姫』あらすじ

幼い頃に事故で母を失くしてから人前で歌えなくなった高校生のすずは、親友に誘われて全世界で50億人以上が利用している巨大仮想空間「Uユー」にベルというアバター(分身)で参加する。

仮想世界では不思議と自然に歌う事ができたベル(すず)は、歌姫として瞬く間にカリスマ的な人気を得る。

ある日、ベルのコンサート会場に謎の竜が出現し、それを追って来た自警団も乱入してきてイベントが台無しになってしまう。

ベルは竜の正体が気になり、「U」の世界で行方を探し始める。

【見どころ】バーチャル空間で別人になれる世界が舞台

  • 鈴の親友・弘香は名プロデューサー
  • 鈴の同級生・瑠香は周囲のイメージとは真逆の純情少女
  • ジャスティンの正体は、何となく分かる

【登場人物 / キャスト】コーラスのおばちゃん達はベルの正体を知っている!?

  • 内藤鈴 / Belle(中村佳穂)
    顔のそばかすが特徴の地味な少女。
    母の死後、人前で歌えなくなっていたが、仮想空間「U」の中ではカリスマ的歌姫・ベルとなる。
  • 別役弘香(幾田りら)
    すずを「U」の世界に誘った親友。
    「U」の中で唯一ベルの正体を知っている毒舌女子。
  • 久武忍(成田凌)
    すずの幼馴染み。
    母を亡くしたすずを昔から気にかけている心優しい少年。
  • 千頭慎次郎(染谷将太)
    すずの同級生で、カヌー部に所属。
    スポーツマンだけど性格がポンコツ。
  • 渡辺瑠果(玉城ティナ)
    すずの同級生で、学校内の人気者。
  • すずの父(役所広司)
    すずと二人で暮らしている父親。
    妻の死後、すずとの間に出来た距離を縮められないでいる。
  • (佐藤健)
    「U」の中にある武道場で道場破りを繰り返している謎の存在。
    秩序を乱しているとして自警団に追われている。
  • ジャスティン(森川智之)
    「U」で公式運営には認められていない非公式な自警団を率いているリーダー。
    竜の行方を追っている。

感想(ネタバレ含む)この作品の本質は少女の成長物語

「U」という仮想空間に参加するために作成する自分の分身は、生体スキャンをしたデータを基にAIが自動的に姿を生成するシステムというのが驚き。
肉体面だけではなく、精神面までもが反映される仕様。

つまり自分でキャラクターデザインができなくて、AIが勝手に決めてしまう訳ですよ。

主人公のすずは現実の本人の特徴でもある「そばかす」が特徴的なアバターが出来上がった訳ですが、体が無くて顔だけのキャラがいたけど、何が反映されてそのような姿のアバターになったのでしょうか(笑)

この作品は、幼少時に母を亡くした高校生の少女が閉ざしていた心を再び開くようになる部分が見所だけど、そのキッカケが母と同じような行動をとったというのがポイントですね。

すずの母は川の増水で危険な状況にあった他人の子供を助けた代償に、自分が命を落としてしまった。

当時6歳のすずは、「どうして赤の他人の為にそこまで・・・」という思いがあったはず。
でも17歳になった彼女はあの時の自分の母親と同じように、困っている人を放っておけないという思いで覚悟を決めて行動に出た。

竜が現実世界で抱えている事情を知って本気で助けようと動き出すのだけど、この時にようやく当時の母親の行動を理解できたのでしょうね。

大人になるというのは、こういう事なのだと思います。

ジャスティンの正体は、やはり・・・

「U」の世界で自警団を名乗り非公式に行動しているジャスティンというキャラの正体は劇中では明かされていないけど、何となくこの人だと想像がついた。

当たっているかどうかは分からないけど・・・。

運営から公式の自警団として認定されていない理由は、「U」の創造主が本当に優秀な人なのだからだと思います。
ジャスティンは「U」の秩序を守っていると言っているけど、「ただ自分の価値観を相手に押し付けているだけで服従しない存在が気に入らないだけ」という事を見抜いていたのでしょうな。

ベルと竜の交流が作品のキモなのは分かるけど、すずの同級生たちが魅力的だったので、他にもっと色々なエピソードを盛り込んで欲しかった。

忍とか瑠果なんてメチャクチャいいキャラクターだし、もう少しうまく深堀して描いて欲しかった。

それはそうと、ベルの正体が近しい人にバレまくっていたのが面白い。
でもみんな優しいから知らないふりをしてくれていた訳ですよ。

唯一公式にベルの正体を知っていた弘香のプロデューサーとしての能力が疑われる事態ですな。

逆に近しい人には正体が分かってしまうような本人の特徴をとらえたアバターを作成してしまうAIが優秀過ぎる?

もう一つの可能性としてベルが歌っているのは自作の歌だから、単にそれですずの正体がバレたのかな。

おいも
おいも

コーラスグループのおばちゃん達は、全てお見通し!?

アニメ映画『竜とそばかすの姫』を配信しているサブスク

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