『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』あらすじ・感想 | 暗くならない戦争映画としてオススメ

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の詳細情報

公開年  : 2019年
上映時間 : 2時間 48分
監督   : 片渕須直
キャスト : のん / 細谷佳正 / 稲葉菜月 / 尾身美詞 / 小野大輔 / 潘めぐみ / 岩井七世 / 牛山茂 / 新谷真弓 / 栩野幸知 / 澁谷天外 ほか

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』登場人物(キャスト)

北條すず(のん)
旧姓は浦野。
広島市の海苔梳き業を営む家で育った、絵を描くことが得意な女性。
結婚後は呉に移り住む。

北條周作(細谷佳正)
すずの夫。
海軍の書記官として勤務。

水原哲(小野大輔)
小学校時代のすずの幼馴染み。
すずとはお互いを意識する間柄だった。

黒村径子(尾身美詞)
周作の姉。
結婚して家を出ていたが夫が病死したため嫁ぎ先から離縁して出戻ってきた。
口調は厳しいけど根は優しいお姉さん。

黒村晴美(稲葉菜月)
すずに懐いている径子の娘。

北條円太郎(牛山茂)
周作の父。
海軍の技師で「紫電改」のエンジン整備を担当。

北條サン(新谷真弓)
周作の母。
足が悪いため、座ってできる家事を担当する優しい姑さん。

白木リン(岩井七世)
呉の遊郭で働く遊女。
道に迷ったすずと偶然知り合い意気投合。

浦野要一(大森夏向)
すずから恐れられていた実の兄。
通称・鬼(おに)いちゃん。

ばけもん
すずが幼少時にさらわれかけた怪物。
その時に一緒に捕まっていたのが幼少時の周作。
これは実体験なのか妄想なのかよく分からないエピソード。
実際は人さらいに連れて行かれそうになった可能性が高い!?

あらすじ | 戦時中の人々の暮らし

1944年(昭和19年)に広島市から軍港のある呉市の北条家に嫁いだ18歳のすず。
戦況が悪化し物資も不足する中で、周囲の人々と協力しながら毎日を乗り越えていく物語。

感想(ネタバレ含む) | とにかく前を向いて生きる

第二次大戦末期の広島県呉市を舞台にしたアニメ映画。

この作品が制作される前にも、2011年に北川景子主演でスペシャルドラマ、さらに2018年に連続ドラマで松本穂香が主演で、それぞれ北条すずの役を演じた作品がテレビで放送されていた事を私は知らなんだ(笑)

しかも夫の周作役がそれぞれ小出恵介・松坂桃李というなかなかに豪華なキャスト陣。
・・・なのに、知らなんだ。

私が戦争関連作品を敬遠していたのは、こういう題材の作品て悲しい気持ちになるという理由がある。
でも他の作品と違って『この世界の片隅に』は、悲しい現実を感じながらも主人公すずのほんわかとした雰囲気が優しい気持ちにさせて和ませてくれるので、観ていて暗い気持ちにはならなかった。

アニメだからという事もあるのかも知れないし、声優ののんの声の波長が自分に合っていたのかも知れない。
それにしても “のん” という名前・・・
あの騒動の影響で仕方が無いのは分かるけど、そろそろ本名で活動できるようにしてあげて欲しいです。

ちなみに今回私が観た作品は『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』というタイトル。
2016年に公開された『この世界の片隅に』に約40分の追加シーンを加えたロングバージョン。

2016年版を観ていないので、どのシーンが追加されたのかは分かりません。
両方を観た人の話では、それぞれに印象が違う作品だそうです。

当時余分な場面がカットされたのか、それとも後になって新規で描いたシーンを追加したということでしょうか、どちらにしてもアニメ作品で約40分の追加は凄いですね。

ほんわか天然キャラの主人公すず

終戦の1年前に当たる1944年に広島市内から呉市に嫁いだ、すず。
あの時代は本人の意思とは関係なく親同士が勝手に決めて結婚した夫婦も多かったみたいで、当人たちもそれが普通だという価値観を持っていたそうな。

特に当時は今以上に女性の地位が低くて、女性は炊事洗濯の他に跡取りを生む役割を求められて、それさえも当人たちは当然の事と受け止めていた風潮がある。

こういう価値観・考え方は戦国時代と変わらないような気がします。
実際に戦争中なので人間の命の灯がいつ消えてもおかしくなかった状況を鑑みれば、若い男子は長男や次男という事に関係なく健康であれば戦地に送られていたので、一人でも多くの子孫を残して家の存続を最優先に考えるというのは分からないでもないけど、平和な現在とはギャップがあり過ぎて複雑な気持ちになってしまいます。

でも、すずが嫁いだ北条家は夫の周作や義両親は優しい人でラッキーでしたね。
出戻りで娘と共に帰ってきた小姑の径子おねえさんは嫁いびりをしていたけど、天然キャラのすずには一切の嫌味が通用しない(笑)

良い意味で鈍感なホンワカ系の人って、ちょっと得ですな。

まあ、径子おねえさんも基本的に悪い人ではないのですがね。

ちなみに径子さんの独身時代は流行の先端を行く“モガ(モダンガール)”だったそうです。
しかも結婚は、当時では珍しい恋愛結婚。

たごやま
たごやま

さすがは、お姉さん。

残念ながら旦那さんとは死別したそうで、跡取りの長男を残して嫁ぎ先から離縁して戻ってきた。
すずに対して厳しい態度が目立つけど、根が良い人なのは見ていてわかります。
最終的にはいつもフォローしてくれますからね。

戦争中の生活は大変

作品内でも描かれていたけど戦時中の生活は本当に大変だったみたいで、国から配給される物資も日に日に減って、道端の雑草でさえも貴重な食糧。

しかも今と違って食品の保存にも一苦労。
冷蔵庫は氷を使ったタイプの物がそれほど性能が良かったわけではなく、井戸の中に入れておくのが一番効率的だったのだとか。
冷蔵庫があった家庭も少なかったと思います。

水道に関しては戦後の昭和30年代以降に急速に普及したみたいで、戦時中はまだ川や井戸から水を汲んできて大きな瓶に保存しておくのが一般的。
現代の日本は蛇口からすぐに奇麗で安全な水が出てくるけど、当時は水の確保も重労働。
これが一番キツかったかも知れない。

米の研ぎ汁を捨てずに床拭きに使ったりとか、とにかく一滴たりとも無駄にしないように工夫していたという今では考えられない時代。

着るものも、古着を裁断して縫い合わせて・・・
大量生産・大量消費とは真逆の時代。

昔の人々の苦労があって、今の我々の便利な暮らしがある。
そう考えると、資源の無駄遣いはしないように心掛けないと。

この作品は明るい終わり方

戦争を題材にした作品は暗い雰囲気で色々と考えさせられるような内容が多くて、観終わった後に複雑な気持ちになるものが多い気がするのだけど、この作品はある意味ハッピーエンドな感じで終わる。

もちろん米軍の爆撃で家が破壊されたり、すずが爆発に巻き込まれて大怪我をしたり、呉から少し離れた広島市内に原爆が落とされたりという悲しい現実も描かれているのだけど、最後はみんな前向きに笑顔で終了。

とにかく登場人物がみんな精神的に強い。
ウジウジ泣いていてもどうにもならないという事が分かっているので、もう前を向いて歩きだすしかない訳ですよ。

これが実にイイ。
こういう作品こそ、子供に観て欲しい。

遊郭が登場する場面があるけど、遊女のリンとすずの会話だって自分の居場所を見つけて一生懸命生きるという前向きな内容だし、こういう場所もあったという教育的な視点から遊郭だって歴史の遺物として上手くぼかして説明すれば何とかなるのではないでしょうか。
・・・ならないかな?

NHKでは地上波で過去に放送済みだけど、民放では難しいのですかね。
なんなら各局持ち回りで毎年放送して欲しいくらいの傑作だと思います。

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