優柔不断な宮本を演じている阿部寛の雰囲気が自然体で、何の違和感も感じない。
妻が隠していた離婚届を発見してた中学教師の宮本が、担任を受け持つ生徒の問題に対処している内に今まで適当に流してきた自分の人生の問題に本気で向き合う。
『恋妻家宮本』あらすじ
中学教師の宮本は、一人息子の結婚をきっかけに27年ぶりに妻・美代子と二人だけの夜を迎える。
時間が出来た事で昔の本でも読み直そうと学生時代の思い出の本をパラパラと開いてみると、中に離婚届が挟まっていた。
そこから優柔不断な男の葛藤の毎日が始まる。
【見どころ】人生は悩みだらけ
- 他人の相談に乗っている場合ではない宮本
- 宮本はストレスが溜まると料理を作る
- 宮本の生徒ドンの母親がシャレにならないバカ親
【登場人物 / キャスト】主人公は「優柔不断な男」
感想(ネタバレ含む)妥協の連続だった宮本の人生
宮本は子供の頃から現在に至るまで優柔不断な性格。
ファミレスのメニューで迷いまくり、何時まで経っても決められない。
業を煮やした妻の美代子が、店員を呼んでサバサバと注文するのが日常。
阿部寛って、一見出来る男っぽいのに実は色々と弱点がある役が似合いますね。
宮本の人生における選択は、常に妥協の連続。
文学の道に進みたかったのに美代子の妊娠を機に結婚し教職に。
息子の名前を決める時も、一戸建てかマンションかを決める時も。
結局何が正しくて何が間違いなのか、本人も分かっていない。
これは宮本に限らず、大抵の人がそうですよ。
選択を迫られた時に、どっちを選べば正解かなんて選んでみないと分かりません。
選んだ後になっても正しかったのかどうかを現在に至るまで自問自答し続けている人が大勢いるはず。
考え出したらキリが無くなるので、コレが最良の選択だったと無理矢理納得するのが正解な気がします。
今が悪い状況ではないのなら、少なくとも間違ってはいないという事にしておきましょうよ。
優柔不断な性格だけど料理に関してはキビキビと動く宮本。
通っている料理教室で覚えたメニューを家で作り、妻に自慢げに披露する宮本。
唯一の自信を持てる事が料理。
担任を受け持つ生徒の問題に直面
勤務している中学校で担任を受け持つ生徒の一人で通称ドンと呼ばれる生徒の問題にも悩まされる宮本が家庭訪問に訪れると、ドンの祖母が対応。
昭和の厳格な価値観を持つおばあさんです。
女は自分を犠牲にしてでも家庭を守るべきという昭和の中でも初期の方のかなり厳しい考え方。
ヘタをすれば明治・大正時代の女性像が理想なのかも知れません。
ドンの母親は不倫相手とのドライブ中に事故に遭い入院中で、祖母は嫁を許さないと激怒。
母親が不倫相手と事故に遭い入院て・・・
中学生にして、ヘビーな人生やな。
ドンを心配するクラスメイトの女の子・明美(通称メイミ)の言葉が色々と宮本の胸に突き刺さります。
彼女から見た宮本は問題を先送りにしているだけと指摘される。
こういう世話を焼いてくれる女の子が学生時代にいた人って羨ましいですな。
こんな娘と将来結婚して幸せな家庭を築くのが理想ですよね。
自分の離婚問題はとりあえず後回しにして、ドンの問題解決に動く宮本。
ここで料理という特技が生きてくるわけですよ。
早速ドンの家で作戦を遂行する宮本だけど、途中で恐ろしい祖母が帰宅。
案の定、厳格な祖母は激怒するわけですが、そこで優しさと正しさについて説く宮本。
正しいことをするのは大切だけど、優しさを持つことも大切だと。
つまり怒るばかりではなく、相手を許す心を持つことも時には必要だという事でしょうか。
宮本先生、良い事を言いました。
おばあさんの表情も若干柔らかくなったような気がします。
これでドンの問題は良い方向に行きそう。
残すは、息子の正が住む福島に行ったまま帰宅しない妻・美代子との関係修復。
実は少し前に離婚届の事を知っていたと白状して口論になり、勢いで記入して判を押してしまっていた宮本。
そしてそのまま美代子は家を出て行ってしまった。
これはもう、奥さんとじっくり話すしかありません。
こういう時は、お互い心に溜めているものを吐き出す事が重要。
という事で、今度は福島に向かう宮本。
優柔不断な男が最後はどういう選択をするのか。
宮本に限らず、人生は選択の連続
宮本が取った行動がどんな結果になったとしても、選んだのは本人なんだから誰にも文句を言われる筋合いはないし、正解でも間違いでもどちらでも良いんじゃないでしょうか。
結局、選んだ本人が納得できるかどうかですよね。
別に誰かに点数を付けてもらうわけでもないし、どの選択肢でも正解かも知れないし逆かも知れない。
冷静になって周りを見渡してみると、二択だと思っていたらもう一つの選択肢が見つかるかも知れない。
もし間違った選択をしても、次の選択で取り戻せるかも知れない。
選択を誰かに委ねてみるのも一つの手かも知れない。
可能であれば全ての選択肢を順に試してみたり、そもそも“選ばない”という選択肢もあるかも知れない。
人生、どうなるかなんて誰にも分からない。
交通事故なんてその最たるものですよ。
でも事故が起こったからこそ、ドンの母親は自分の過ちに気付いて涙を流した。
自分の選択が間違っていたと気付いて、まだ軌道修正できるのなら幸せな事ですよ。
罪悪感を抱え続けるよりも、謝罪してやり直せるならそれに越したことはないですからね。
映画『恋妻家宮本』を配信しているサブスク
『恋妻家宮本』と同じ阿部寛が主演の映画『海よりもまだ深く』では、プライドや未練が邪魔をして人生を前に進める事ができない男をが登場。
どちらも“悩める男”が共通点だけど、本記事の宮本と違ってかなりのダメ人間。
名言が色々と出てきますが、観る人によって刺さる言葉は異なると思います。
関連記事 『海よりもまだ深く』あらすじ・感想
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