この作品は創作だけど世の中には夫に不満を持っている奥様方がどれだけ多いかという事を実感させられるし、実話が原作と言われても特に驚きません。
1986年の流行語で「亭主元気で留守が良い」という言葉がありますが、何十年も前の言葉なのに現在でも普通に共感が得られるという事は、世代に関係なく夫という存在は妻にとって不満の種なのですね。
『犬も食わねどチャーリーは笑う』あらすじ
鈍感な夫への不満を日々SNS「旦那デスノート」に投稿している田村日和。
そんな日和の投稿を夫の裕次郎が偶然見てしまった事から、仲良し夫婦の関係に大きな変化が生じてしまう。
【見どころ】不満を溜め込む妻と鈍感な夫
- 日和の投稿者ネーム(チャーリー)を見て、即座に妻であると直感する裕次郎
- 裕次郎の同僚であり、日和のSNS投稿者仲間でもある蓑山さんの存在
- 世の奥様方は旦那デスノートを読んで、頷きながらニヤニヤしている
【主要登場人物 / キャスト】蓑山さんはどちらの味方!?
感想(ネタバレ含む)夫婦はシステム通りには機能しない
田村夫婦は子供がいなくて結婚4年目。
妻と二人の生活なのに仕事と趣味(筋トレ)が生きがいみたいな裕次郎は話になりません。
そりゃ日和の不満は積もりに積もって「旦那デスノート」に書き込みでもしないとやってられませんよ。
婚姻届けを提出すると国から「夫」と「妻」という身分を与えられて「夫婦」というシステムに組み込まれるけど、元々は血の繋がらない他人同士なので色々と不満は出てくるのは当然。
この作品で日和が「システム」という言葉を何度か口にしていたけど、
- 妻だから料理を作らないといけない
- 夫は外で働いてお金を稼がないといけない
といった既成概念に必ずしも囚われる必要は無いのに、なぜか多くの夫婦がシステム的にそのような役割を担っている。
田村夫婦の場合は共働きにも拘らず日和が家事を担当しているので、負担としては妻の方が圧倒的に大きいのは間違いない。
そりゃ「旦那デスノート」にあれこれ書かれますわ。
夫は役割を考える事から逃げていた
日和のSNSの投稿を発見した裕次郎は「言いたい事があるなら直接面と向かって・・・」と文句を言っていたけど、ここまで奥さんに不満を溜め込ませるアンタが悪い。
妻にしてみれば直接不満をぶつけてしまうと取り返しがつかない事になりかねないからSNSに投稿しているのに、そういう事情も汲み取れない鈍感なところが裕次郎のダメな部分なのでしょうね。
とにかく裕次郎は、日和と正面から向き合って本音で話そうとしない。
過去に悲しい出来事があって以来、裕次郎は意識的に日和に本音をぶつける事を避けるようになったという事情があるみたいで、その当時に妻が悲しんでいる時に寄り添うのではなくて“そっとしておいた”という行動が悪い意味で糸を引いていると思います。
夫なら悲しんでいる妻を優しく包み込んで、寄り添ってあげなさいよ!
悲しんでいる妻に対して“そっとしておいた”というのは、結局どう対処して良いか分からずに完全に逃げたという事ですよ。
これはある意味で夫としての責任放棄のような気がする。
妻が何を望んでいるかなんて夫でもそう簡単に分からないのは確かだけど、そっとしておくのは絶対に良くない。
映画の中の裕次郎は鈍感を通り越して、ちょっとバカに見えた。
夫婦喧嘩は犬も食わない
最終的に裕次郎と日和は本音を言い合ってお互いへの不満をぶつけあう事になるのだけど、これは本当に大切な事だと思います。
「夫婦喧嘩は犬も食わない」ということわざから映画のタイトルが生まれたと思うけど、本音をぶつけ合うという意味で喧嘩はした方が良いと思う。
夫婦喧嘩は些細なことがきっかけで起こる事が多くて、逆に些細な理由で簡単にわだかまりが解けて仲直りしてしまう事もよくある。
関係が冷めきった夫婦は、もはや喧嘩すらしないはず。
つまり「仲直りをしたい」という気持ちが根底にあるから、本気で喧嘩をする。
定期的に喧嘩をする事が夫婦にとってのいい意味での潤滑剤になるのではないでしょうか。
日和は「いい意味で」という言葉が嫌いみたいですが・・・。
映画『犬も食わねどチャーリーは笑う』を配信しているサブスク
この作品はコメディ映画かと思いきや、最終的には夫婦関係に焦点を当てたヒューマンドラマでした。
既婚者、独身、子供の有無などそれぞれの立場で鑑賞後の印象が大きく違いそうな作品です。
終始笑っている人もいれば、登場人物に共感して涙を流す人もいるはず。
私は映画館ではなくサブスクの「Amazonプライムビデオ(アマプラ)」で自宅で一人で観賞しましたが、夫婦で一緒に観るか一人で観るかによっても作品から受ける印象が変わりそうな気がしました。
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『犬も食わねどチャーリーは笑う』は草彅剛主演「台風家族」と同じ市井昌秀監督の作品なので、興味のある人は併せて鑑賞してみて下さい。
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※コミカルに家族愛を描いたヒューマンドラマ