新海誠監督による2022年公開のアニメ映画。
常世(いわゆるあの世)に繋がっている扉からこの世に災いをもたらす存在が出てくるのを防ぐために、日本各地にある“扉”を閉める旅に出る物語。
この作品で描かれる“災い”というのが、震災(地震)なのが興味深い。
『すずめの戸締り』あらすじ
九州の静かな町で暮らしている女子高生の岩戸鈴芽(すずめ)は、廃墟を求めて旅をしている不思議な青年・宗像草太と出会う。
やがて鈴芽は草太が災いをもたらす扉を封印する「閉じ師」であると知り、自分が封印を解いてしまった後ろめたさもあり、日本各地の扉を閉じる旅に出る。
【見どころ】震災の原因はミミズ!?
- 草太の友人の芹沢が結構良いキャラ
- 現実の悲しい出来事がストーリーに絡んでいる
- ダイジンの本音が気になる
【主要登場人物 / キャスト】
感想(ネタバレ含む)ダイジンの正体は・・・
結構メッセージ性のある作品ですね。
鈴芽は3.11の東日本大震災の被災者でその時に母親を亡くしていたり、扉がある場所が廃墟だったり・・・。
常世(あの世)と繋がった扉が出現するのは廃墟である理由を考えてみると、哀しい出来事は風化させてはいけない、いつまでも弔い続けないといけない、人々がその気持ちを忘れてしまうとまた同じような災いが発生してしまう。
ただ過去に囚われてばかりでは良くないし、未来に向かって前向きに生きないとダメなのだけど、一方で不幸な出来事は心の片隅に記憶として残しておかなければならない。
そういう事なのかな?
実際の出来事が題材となっているので、なんか複雑な気持ちになりますね。
この作品の大きなポイントは、世間では自然災害と思われている地震の原因が常世から現世にやってきたミミズと呼ばれる怪物の仕業という部分ですね。
つまり『すずめの戸締り』の世界では、地震を発生させているのはミミズという名の妖怪という事になる。
関東大震災など少なくとも日本で古来から発生している地震の原因がミミズであるならば、なぜ日本はこれほどまでにミミズの被害を受けまくっているのか。
世界有数の地震大国の日本は、国全体が呪いでもかけられているの?
草太は大学を卒業後に教員になって閉じ師と二足のわらじで活動していくと言っていたけど、例えばダムの底に沈んだ集落に扉が登場してしまったら厄介ですよね。
日本で近年大問題になっている廃墟化した空き家が常世と繋がってしまう可能性もあるし、そう考えると閉じ師というのも難儀な商売ですな。
ダム底の集落はともかく、空き家を廃墟化させない為には定期的なメンテナンスが必要だけど簡単じゃないですからね。
これからの未来を考えると、どう考えても閉じ師の人数を無理やりにでも増やすしかない気がする。
神獣のダイジンが喋っている言葉は誰にでも聞こえるのだから、そう考えると閉じ師を育成する方法もありそうですけどね。
ちなみに猫の姿のダイジンは元々人間の子供だったそうで、閉じ師でもあったので自ら要石になる事を望んだそうな。
時間が経過して神獣化してからは、子供本来の無邪気さが表に出てきたのかな。
あくまでネット上の噂なので、本当の事は分かりませんけどね。
「おかえり」と言える幸せ
作中で様々な人が自宅を出る際の「行ってきます」が描かれていたけど、「ただいま」や「おかえり」のシーンはなかった。
「ただいま」が言えなかった人々のためにも、帰ってこられる場所はしっかり残しておかなければならない。
私の感覚では、この世に残された人の心の中に「おかえり」が言える場所が存在していれば良い気がする。
思い出にしか存在しない人を心の中で「おかえり」と迎える事ができた時に、その人は過去から解放されて前を向いて歩きだせるのかも知れない。
最終的に鈴芽は震災時に行方不明になったままの母親が自分の心の中だけで生き続ける存在であると自覚し、「おかえり」と言って迎える事ができたのだと思います。
建物が朽ち果ててしまうのは仕方がないけど、心の中だけは絶対に廃墟にしてはいけないという事ですね。
『すずめの戸締り』を配信しているサブスク
『すずめの戸締り』を含め新海誠監督のアニメ作品は複数のサブスクで配信されていますが、見放題対象・追加料金が必要なレンタル作品のどちらかはサービス毎に異なるので入会前に公式サイトでチェックしてください。
サービス名 | 月額料金(税込) | 同時視聴できる端末数 | 無料お試し期間 |
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U-NEXT | 2,189円 | 4台 | 31日間 |
Hulu | 1,026円 | 4台 | ✕ |
Amazonプライム | 600円 | 3台 | 30日間 |