
『残穢-住んではいけない部屋-』登場人物(キャスト)
■ 私(竹内結子)
小説家。
怪談系の連載を持っている関係で、怪奇現象についての手紙を送ってきた久保と知り合う。
■ 久保さん(橋本愛)
建築デザインを学んでいる大学生。
寮を出て一人暮らしを始めた部屋で奇妙な事が起こるようになり、<私>に手紙を送って相談する。
■ 直人(滝藤賢一)
<私>の夫であり、ミステリー小説家。
■ 平岡芳明(佐々木蔵之介)
偶然に<私>の怪談話を耳にして、興味本位で協力を申し出た怪談作家。
■ 三澤徹夫(坂口健太郎)
平岡の知り合いのオカルトマニア。
あらすじ | 姿が見えない悪霊
小説家の<私>は「住んでいる部屋で奇妙な音がする。」という内容の手紙の送り主と共に、怪奇現象の調査を始める。
すると、その部屋がある建物の土地の以前の住人、また更に前の住人と遡っていくにつれ、ある事実に行き当たる。
感想(ネタバレ含む) | 祟りの黒幕が不明
『リング』や『呪怨』と違って、この作品に貞子や伽椰子&俊雄クンみたいに強烈な悪霊の存在は姿を現しません。
怪奇現象の原因は“呪い・祟り”だけど、この世の者ではない存在が、様々な不気味な目に遭わせて精神がおかしくなった人間に対して、自分自身で事件を起こすように仕向けるという間接的なやり口。
間違いなく霊の仕業ではあるのだけど、ちょっとこれは陰湿すぎるというか愉快犯に近いのかも知れない。
この作品の怨霊は本当にタチが悪い。
例えば貞子の呪いは、「あと〇〇日で貞子が命を奪いに来る」という決まり事があるじゃないですか。
しかし『残穢(ざんえ)』の祟りは数ヶ月単位で断続的に奇妙な物音や声を聞かせたり、天井から何かがぶら下がっているのを視せたり・・・。
時々イタズラを仕掛けながら、ターゲットが壊れていく様子をじっと観察している訳ですよ。
いつ命を失うとかの条件が無く、下手をすると年単位でずっと祟られてしまう。
これはキツイ!
どうやらこの祟りは、「話を聞いた者、この件に関する情報に触れた者」など少しでも関わった者は根こそぎ祟られる強力なものなので、もしかすると貞子の呪いより強いのではないでしょうか!?
たしか貞子の呪いは「呪いのビデオテープ」を観た者にしか作用しなかったはず。
関係者全員を祟る事ができるほどに強力な力を持っているのに、嫌がらせみたいな事ばかりして自滅するのを待つというね、最悪ですよこの霊は。
まあ単独犯か複数犯か定かではないのですがね。
単独犯なら吉兼友三郎の可能性が高い
吉兼友三郎という人物は、<私>に相談を持ち掛けた女子大生の久保さんが住んでいるマンションが建設される以前に同じ土地に屋敷を構えていた吉兼家の三男で、生前は精神を病んで奇行を繰り返していたらしく、この人物が死後に悪霊となった可能性があります。
しかし大元を辿ると、吉兼家があった千葉県から遠く離れた九州から持ち込まれた“ある物”が祟りを運んできたのではないかという説も。
その祟りのせいで友三郎はおかしくなってしまったのでは、とも考えられます。
つまり友三郎も犠牲者の一人かも知れない。
とはいえ、この男は間違いなく愉快犯として存在する悪霊。
他の悪霊は恨みが原因でこの世に留まるけど、友三郎の場合は恐らくイタズラがしたくてこの世に留まっている。
複数犯なら様々な怨霊の複合体
祟りの始まりは、九州にある没落した炭鉱を経営していた家。
この家が経営していた炭坑で起こった事故のせいで犠牲になった人々が悪霊となって“祟りのシステム”が成立してしまったのだとしたら、恐ろしい事ですよね。
怪奇現象の中身を検証してみると、
- 畳に何かが擦れている音がする。
- 首を吊った着物姿の年配女性が見えてしまう。
- 床下から赤ん坊ではない何者かの声が聞こえる。
- 床下から複数の赤ん坊の声が聞こえる。
- 誰も居ないのにセンサーライトが反応する。
- 炭鉱事故の犠牲者の霊が床を這いながら迫ってくる。
- 公衆電話から何者かがイタズラ電話をかけてくる。
1と2は関連性があって着物の帯が畳に擦れているのだけど、人によってこの女性が見える場合がある。
首を吊った状態でゆらゆら揺れながらコチラを恨めしそうに睨んでいるという、世にも恐ろしい状況。
3は床下を徘徊する変な癖を持つ友三郎の仕業。
もちろん悪霊になった後。
4はとある女性が自ら生んだ我が子を手にかけて床下に隠していたという事件に関連。
5は<私>の家で起こっている現象で原因は不明。
6は祟りが生まれる元凶となった事故の犠牲者だと思われます。
7は私の予想では友三郎に祟られた少年の仕業だと思います。
炭鉱事故から始まって、そこから各地に祟りが広がり、犠牲者たちが次々と悪霊と化して仲間を増やそうとしている!?
この祟りは一体の悪霊が全ての怪奇現象をコントロールしているのか、それとも祟られた犠牲者たちが悪霊となって個別に動いているのかどちらなのでしょうかね。
結論は複数犯説
この祟りは犠牲者が増えるほどに悪霊も増えていって、それに比例して怪奇現象のバリエーションも増えていく仕組みなのではないでしょうか。
つまり吉兼友三郎は“祟りのシステム”に組み込まれた悪霊の一体に過ぎないという事かな。
もしかすると祟りの中に組み込まれている怪奇現象の中で、どれに見舞われるかによって運命が変わるのかも。
どの悪霊も怖いですが、友三郎に当たるのは何となく嫌ですな。
ところで、元凶となった家を探索しに行った時間帯になぜ夜を選んだのか。
ただでさえ祟りの存在が現実味を帯びている状況なのに、懐中電灯で照らしながら家の中を探索するのではなくて、日中の明るい時に窓を全開にして行いなさいよ。
この作品の怖いところは実際の恐怖シーンではなくて、もしかすると自分の住んでいる部屋も・・・と思ってしまう不気味さにあると思う。
あとは“祟りの始まり”は分かったのだけど、解決方法が描かれていない(笑)

<私>の家は新築直後なのに、もう憑かれてるやないか。
どうすんねん、コレ。
もし憑いたのが友三郎やったら最悪やで。
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