『グリーンブック』あらすじ・感想 | 人種なんて関係ない、大切なのは心ですよ!

『グリーンブック』の詳細情報

公開年  : 2019年
上映時間 : 2時間 10分
製作国  : アメリカ合衆国
監督   : ピーター・ファレリー
キャスト : ヴィゴ・モーテンセン / マハーシャラ・アリ / リンダ・カーデリーニ 他

『グリーンブック』登場人物(キャスト)

トニー・“リップ”・ヴァレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)
ナイトクラブの用心棒をしていたが、店の改装工事中に一時的に黒人ピアニストの運転手兼ボディーガードとして雇われる。

ドクター・ドナルド・シャーリー(マハーシャラ・アリ)
ホワイトハウスに招かれるほどの腕前を持つ天才肌のピアニスト。
黒人の地位向上のために差別に対して毅然と立ち向かう信念を持っている。

ドロレス・ヴァレロンガ(リンダ・カーデリーニ)
トニーの妻。
黒人に対する偏見を持たずに誰にでも平等に接する。

あらすじ | 差別にも毅然と立ち向かう天才ピアニスト

1962年のアメリカが舞台。
黒人ピアニストと彼の運転手を引き受けた白人の男が、黒人の為の旅行ガイド「グリーンブック」を手に、白人至上主義が認められるジム・クロウ法が存在するアメリカ南部の州をコンサートツアーでまわっていく。

感想(ネタバレ含む) | ただの友情物語ではない深い作品

アメリカ南北戦争終了後に北部地域では奴隷制度が廃止されたけど、南部ではまだ黒人を奴隷として維持したい勢力が強くて、黒人法(Black Codes)という法律があったそうです。

アメリカ合衆国議会で公民権法が成立して黒人法は廃止されたけど、今度は南部の各州でジム・クロウ法が成立。
黒人と白人の立場が平等になると困る人たちがいて、1876年から1964年までこの法律は存在したそうな。

黒人と白人の混血やアメリカの原住民、さらには黄色人種まで、純粋な白人以外の有色人種は全員が差別の対象。

・白人と有色人種は同じレストランで食事が出来ない。
・バス停留所も白人用とその他が存在。
・学校も白人用と黒人用に分離される。
etc…

とんでもない法律ですね。
コイツら、何様やねん!って話ですよ。

ほんの数十年前までこのような法律が実在して、日本人には想像がつかない位の差別が平然と行われていたという事。
現在のアメリカも表向きは平等を掲げているけど、白人と黒人との間には色々とあるみたいで現在でもよくニュースになっていますよね。

この作品は、アメリカにおける黒人差別がピークだった時代の物語。
そして実話に基づいて、実在の人物をモデルにしています。

黒人のピアニストと白人の運転手

トニー・ヴァレロンガはナイトクラブの用心棒をしているイタリア系アメリカ人。
教養は無く、客に暴力を振るってたびたび上司から注意されている。
何となくアウトローな感じだけど、妻と二人の子供を大切にしている一家の大黒柱。

まだこの時点では黒人に対する差別意識を持っていて、家の修理に来た黒人作業員が使用したコップをゴミ箱に捨てたりしている意識低い系の男。

ある日、勤めている店が改装工事をする事になり、その間の数か月間の収入が途絶える事になってしまい、知人に紹介されたドクターの運転手の採用面接を受ける事に。

ドクターというからには医者か何かだろうと思っていたら、黒人のピアニスト。
しかも全米でも屈指の実力を持つ天才。
本名はドナルド・シャーリーだけど、音楽や心理学などの博士号を持っているのでドクター。
日本でいうと先生といった感じでしょうか。

仕事の内容はコンサートツアー中の約2か月間の運転手とボディーガード、身の回りの世話。

トニーは面接時に断ったのに、家に電話がかかってきて奥さんを丸め込まれて最終的には仕事を受ける事になってしまう。

コンサートツアーで回る地域は黒人に対する偏見が根強い南部の州ばかりなので、レコード会社の人から黒人が利用できる施設が記載された旅行ガイド「グリーンブック」を手渡される。

グリーンブックとは自動車で米国内を旅行する時にアフリカ系アメリカ人が利用できる施設が記載された実在したガイドブック。
ニューヨーク市の郵便局員だったヴィクター・H・グリーン氏が黒人のために創刊し、1936年から1966年まで毎年発刊されていた。

当時は黒人が公共交通機関を利用するのにも差別があったそうで、自動車で移動する事が黒人にとっての自由の象徴だったとか。
でもガソリンの給油を断られたり色々と不便があったそうで、グリーンブックは黒人にとっては必要不可欠なもの。

その頃の黒人に対する迫害は、日本人の想像を絶するものだったのでしょうね。
あえてドクターは差別意識が強い南部の州でコンサートツアーをする事にしたのは、どういった理由からなのでしょうか?

お互いの意識の変化

黒人に対する多少の偏見はあったけど細かい事を気にしない性格のトニーは、ドクターとも次第に打ち解けていく。
その内に家族の話をするようになって彼の事を“黒人”ではなく一人の人間、もっと言えば友人として接するようになっていく。

逆にドクター最初は粗暴なトニーに先生っぽく説教をしていたけど、フライドチキンを薦められて恐る恐る手で食べてみたりして、今までしたことが無い経験により精神的な変化がみられる。

こういう事ですよ。
同じ釜の飯ならぬ、同じフライドチキンを食った仲間。
白人とか黒人なんて関係ない、人間同士の付き合いをする事が重要。

とはいえ、当時のアメリカ南部の州は黒人には本当に冷たい地域。
トイレも白人と黒人は同じ場所を使えないし、ホテルで演奏会をする時の控室も客室ではなく物置をあてがわれる始末。

しかも驚くのは、これが今までの慣例だからという理由。
相手が天才ピアニストであっても、プロバスケットボールの優勝チームの選手であっても黒人という時点で差別的な扱いを受けるのが当然という風潮。

ドクターはそういう風潮と戦うために、あえて南部でのコンサートツアーを行っている。
でも、なかなか上手くいかない。

白人たちの意識はそう簡単には変わらない。
高名なピアニストだと分かっているけど、黒人という理由だけで当然のように差別する。
本当にふざけていますね、彼らは表向きは差別をしていないと装っている偽善者。

そんな白人たち中で、トニーはドクターの事を黒人ではなく友人として大切にするようになり、彼に何かあると守ろうとするようになった。
少なくとも一人の意識を変える事には成功しました。
小さな事からコツコツとですね。

キング牧師は黒人と白人が平等に暮らせる世の中を目指す為に頑張っていた人だけど、ドクター・ドナルド・シャーリーは自分自身の存在価値を示すために個人的に戦っている印象。
もちろん本人が高名なピアニストなので、誰かの為ではなく自分の為に戦っていたとしても周囲の黒人に影響を及ぼしていたとは思いますけど。

共通点は不当な黒人差別に立ち向かったという事。

他人の価値観や考え方を変えるのは簡単な事ではないけど、共感してくれる人は必ずいるはずなので、最初は一人でもあきらめずに頑張っていればいつの間にか仲間が増えていく。
そういう事ですよね。

この作品は差別を撤廃するために頑張る様子を描いた作品ではなくて、白人と黒人のおじさん同士が友情をはぐくむ内容の実話ベースの映画。
そこに黒人への偏見が絡んでくるのだけど、白人だって差別主義者ばかりじゃない。
そういう部分も描かれていたし、世の中そう捨てたものではないという事ですよ。

アカデミー賞受賞作品

『グリーンブック』は2019年のアカデミー賞(オスカー)の作品賞を受賞。
ただの友情物語ではなくて、所々でコメディ要素が入っていて飽きない作品。

トニーが夜は危ないから出歩くなと言っているのにドクターは構わず出歩いて白人に絡まれたり、ドクターからしょっちゅうトニーがお説教されたり、ラストは心温まる展開に。

ハッキリ言って、見て損はないオススメの一本!

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