
公開年 : 2009年
上映時間 : 1時間 50分
製作国 : アメリカ合衆国
監督 : ジョセフ・コジンスキー
キャスト : ライアン・レイノルズ / エマ・ストーン / ジェフ・ダニエルズ / リサ・クードロー キーラン・カルキン / ハンター・パリッシュ 他
『ぺーバーマン』 登場人物(キャスト)
■ リチャード・ダン(ジェフ・ダニエルズ)
売れない作家。
スランプ脱出のために、郊外の一軒家に一時的に滞在して執筆活動を行うことにする。
■ キャプテン・エクセレント(ライアン・レイノルズ)
リチャードの空想上の友人。
本人以外には認識できないキャラクターで、40年の付き合いになる。
■ アビー(エマ・ストーン)
リチャードが滞在を始めた町で暮らしている高校生。
■ クリストファー(キーラン・カルキン)
アビーの空想上の友人。
リチャード同様に本人にしか認識できず、8歳の時からの付き合い。
■ クレア・ダン(リサ・クドロー)
リチャードの妻。
普段は都会で外科医をしていて、週末だけ夫の元へ帰って来る。
あらすじ | 互いに孤独な中年男と少女の交流
スランプ中の作家・リチャードは妻の勧めで郊外の一軒家に一時的に滞在する事になる。
彼は地元の町で出会った不思議な少女・アビーに興味を持ち、子供もいないのに毎週ベビーシッターのアルバイトを依頼する。
交流を重ねていく内にお互いの共通点が見つかり、似た者同士の二人は友情を育んでいく。
感想(ネタバレ含む) | 相談相手はもう一人の自分
ポスター画像を観た限りでは完全なコメディ映画だと勘違いしてしまいがちだけど、この作品は悩める中年男と少女が、それぞれに心に秘めた傷を癒して新たな一歩を踏み出していく物語。
スーパーマンのような格好をした変な人は、主人公のリチャードが子供の頃に生み出した空想上のキャラクターなので本人にしか認識できない。
変な人=キャプテン・エクセレントの役割は、リチャードの悩みを聞いたりアドバイスをしたりして本人のサポートをする事。
とはいっても空想上の存在なので、実際はリチャード本人が自問自答しているだけ。
他人に心を開かない人は、自分の内面にこういうキャラクターを作って脳内でやり取りしてしまいがちなのかも知れませんね。
二重人格とは違う別の形で、一人の人間の中に複数の存在が同居するような現象ですかね。
一人だけで悩みを抱え込んでしまうが故に生まれた不思議な存在。
キャプテン・エクセレントはそんな感じのキャラクターです。
リチャードの職業は作家なので彼自身の印税収入で稼げているのかと思いきや、過去に出版した本は1冊だけ。
そして2冊目を書きたいのだけど、登場人物の名前すら決まらずに何日もスランプに陥っているという状況。
高給取りと思われる外科医の奥さんがいて、どうやら彼女のお陰で生活には不自由していないみたいです。
現状はヒモみたいな立場ですね。
奥さんはリチャードが心の内面に作り出したキャプテン・エクセレントの存在を知っているような発言をしていたので、そこは医者として夫のメンタル関係も把握しているということでしょうか。
経済的に恵まれていて自分の事をある程度理解してくれている奥さんがいるのに、この男は別の事で悩んでいる訳ですよ。
それはズバリ、二人の間に子供がいない事。
「自分は一人っ子で父親も一人っ子なので、自分に子孫がいないと一族の血が途絶えてしまう。」とか内向的な性格のくせに外面的な事を気にする面倒な人物。
しかも奥さんに原因があるというような考え方をしている。

自分が子供じみた性格で殻に閉じこもっている事が原因なのに、外科医としてバリバリ働いてチャリティー活動にも積極的で友人も多い奥さんの方が悪い!?
このオッサンだけは本当に・・・
そりゃキャプテン・エクセレントも呆れますわ。
リチャードに似た雰囲気を持つ少女・アビー
エマ・ストーンが演じるアビーはリチャードが滞在している町に住んでいる高校生なのだけど、路地で初対面の変なオッサンにベビーシッターを募集してるから来てくれないかと言われて何の躊躇もなく承諾してしまう。
アメリカの高校生がベビーシッターのバイトをすること自体は実際に珍しい事ではないみたいだけど、この映画のやり取りは不自然過ぎるやろ!
リチャードに声をかけられて住所を教えられて、実際に約束の時間に家を訪れたら子供がいない。
この時点でオッサンは不審者確定ですよ。
怪しいオッサン=リチャードはアビーを家に残して数時間夜風に当たって帰って来る。
そしてバイト代を支払って、来週も来てもらう約束をする。
この時はどうしてこんな妙な行動をとったのか意味が分からなかったけど、アラフィフ世代のリチャードにとってアビーは、もし自分に娘がいたらこんな感じかと思わせてくれる存在だったのかも知れない。
そして彼がアビーに声をかけたのも、自分に似たものを感じ取ったのかも!?
実際に彼女にはリチャードと同じように、自分にしか認識できない空想上の存在であるクリストファーが身近にいて色々とやり取りをしている。
そんな似た者同士の二人だから、親子ほど年が離れていても共感出来て打ち解けられたのでしょう。
子供がいないのにベビーシッターのバイトで高校生を自宅に招くって、普通なら完全に警察を呼ばれる案件ですからね、相手がアビーで良かった(笑)
妻に激怒されるリチャード
恋人ではなく理想の娘と父親のような形で友情を高めていった二人だけど、ある日リチャードの妻が二人が家のソファで一緒に寝ている姿を見て大激怒!
そりゃ怒るでしょうに。
家に戻ってきたら夫が見知らぬ少女と一緒に寝ているのだから。
二人は別に不適切な関係という訳ではないのだけど、第三者が見たらオッサンが少女と怪しい事をしていたと誰もが思う状況です。

キャプテン・エクセレントから妻にバレるとヤバいから気を付けるように注意されていたのに・・・
どうしようもないな、このオッサンだけは。
リチャードとアビーは前に進むことができた!?
まあでもね、こういう衝撃的な展開になったからこそリチャードは今まで正面から向き合ってこなかった妻との関係を見直すきっかけにもなったし、結果オーライなのかなとも思えます。
精神的な事でも物理的な事でも人生の現状を変えるきっかけって、こういう劇薬的な展開が必要なのだと思います。
いわゆる人生観を変える出来事ってやつですな。
アビーはクリストファーと、リチャードはキャプテン・エクセレントと、それぞれいつかお別れしなければ前に進む事は出来ませんからね。
空想上の自分の分身から正しいアドバイスを受けているという事は、本人がその事を本心では分かっているという事の裏返し。
自分を変えるのに必要な事は踏み出す勇気と、あとはきっかけを上手く利用できるかどうか、という事ですね。
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