香田家三姉妹は、しっかり者の長女の幸は看護師、男運と酒癖が悪い次女の佳乃は信用金庫職員、独特の感性を持ち掴みどころのない三女の千佳はスポーツ用品店勤務。
現在住んでいる鎌倉の家は、元々は祖父母の家。
三人とも社会人で、長女はアラサー、次女は二十台中盤、三女は二十代前半くらいでしょうか。
家のローンなどの借金があるわけではなく、普通に三人で暮らしている感じですね。
その三姉妹が父の葬儀で出会った異母妹の鈴を一緒に暮らそうと誘った事から物語が始まります。
『海街diary』あらすじ
鎌倉に建つ古い家で暮らしている三姉妹。
今から15年前に家族を捨て家を出た父、母も再婚して他の場所で暮らしている。
ある日、父の訃報が届き、葬儀が行われる山形に赴く。
そこで出会ったのは、異母妹・すず。
彼女の母は既に他界しており、父の再々婚相手とその連れ子と共に暮らしていた。
父が亡くなった事で血の繋がらない義母と義弟と暮らす事になるすずに対して、三姉妹の長女・幸が、自分達と一緒に暮らそうと提案。
他の姉達からも好意的な言葉をかけられ、すずは快諾し海の見える街で四姉妹の生活が始まった。
【見どころ】優しい姉達に迎えられた異母妹すず
- 母は違えど父が同じである異母妹と一緒に暮らす事になった三姉妹
- すずを迎えた時点で、三人の姉はみんな社会人
- 日を追う毎にすずの表情が明るくなっていく
【登場人物 / キャスト】幸田家の大叔母の存在感
感想(ネタバレ含む)大切なのは抱え込み過ぎず、程よく吐き出す事
父親が浮気をして出て行った数年後に母親も娘達を祖父母に押し付けて別の男の所に行ってしまったのはキツイですが、三姉妹は喧嘩しながらも仲良く暮らしている。
そんなある日に父の訃報が届きます。
普通なら欠席しても良いと思いますが、佳乃と千佳を葬儀が行われる山形に送り込む幸。
自分は夜勤を理由に欠席。
長女の幸は父の事が許せない気持ちが強いのでしょうか。
しかし娘として無視する訳にもいかず苦渋の決断で妹達を現地に派遣。
佳乃は幸ほど父に悪印象はない感じで、千佳に至っては遊びに連れて行って貰った楽しい思い出しかない。
やはり最年長である第一子というのは、色々とあるんですね。
駅に到着した二人を出迎えたのは、異母妹で中学生の浅野すず。
ちなみに演じているのは広瀬すずですが、この映画が芸名の由来になったという訳ではないみたい。
すずも父親が亡くなった事で複雑な環境下に置かれています。
葬儀では母と小さい弟がいたみたいだけど、義母と義弟。
すずの実の母で三姉妹から父を奪った女性は既に他界していて、現在一緒にいるのは父の再々婚相手と連れ子。
唯一の血縁者の父がいなくなり、血の繋がりのない家族と一緒にいるという状況。
中学生だし、自分の力ではまだどうしようもできないし厳しいですね。
義母はなんだか頼りないお嬢様といった感じ。
これは間違いなく全て父親が悪いんですよ。
幸の話では優しすぎる性格とか言っていましたが、それにしても節操がない。
やはり気になったのか、夜勤を終えてそのまま葬儀場にやって来た幸が合流。
葬儀を終えた帰り際、すずに対して幸が「一緒に暮らそう」と声をかけ、 佳乃と千佳も笑顔で妹を誘う。
優しいお姉さん達で良かった。
三人の姉達に誘われて笑顔で「行きます!」と元気にすず答えるシーンは本当に嬉しそうな感じだった。
微笑ましい光景じゃないですか、母が違えど血の繋がりというのは大切にしないと。
そうして鎌倉の香田家にやって来た、すず。
鎌倉で四姉妹の生活がスタート
すずの名字が浅野なのは父の本来の名字。
香田三姉妹の名字は、最初の結婚の時に父が婿養子に入ったから。
しかし確かに血が繋がっていて四姉妹である事は間違いないので、そんな事はどうでも良い。
三姉妹の母方の祖母の法事の時に大叔母として登場する史代さん(樹木希林)もイイ味を出しています。
すずを引き取った幸に対して、犬や猫とは違うと厳しい事を言いながらも優しく見守ってくれるご意見番。
そして北海道で暮らしている三姉妹の実母が顔を出した時も、個人的には悪い印象は持ちませんでした。
他に男を作って出て行ったんだから娘にしてみれば複雑な思いはあるだろうけど、佳乃や千佳とは仲良しな感じ。
すずに対して何か嫌味を言う訳でもなく、「みんなと仲良くね」と優しく声をかける。
結局、長女の幸が深く考えて抱え込み過ぎているようにも見えます。
逆に考えると彼女のお陰で、妹達の心の負担が軽いのかも知れない。
翌日、幸と母が一緒に祖母の墓参りをして少し和解したようなシーンがありました。
子供の頃は悪いイメージしかなかったけど、大人になれば自分自身も様々な経験を積んで過去の事を許せるというか良い意味で妥協できるようになる時が来ると思うんですよ。
時間を置けば、カチカチの氷もいつの間にか溶けてくるイメージですかね。
最初は姉達に遠慮がちに敬語で接していたすずも普通にお姉ちゃんと呼べるようになり、時間の経過と共にどんどん距離が縮まっていき、抱えていたものを吐き出して本来の明るい少女に戻っていく。
すずの場合は転校先の学校でクラスメイトに恵まれたのも大きいですね。
・実は同じ職場の医師とホニャララな関係だったけど思い切った決断をした幸
・男運が悪すぎて仕事に生きる決意をした佳乃
・相変わらずマイペースな千佳
・幸と似て色々と抱える性格だったけど心の扉を開いて本音で姉達と接する事が出来るようになったすず。
この映画は一緒に暮らすようになった四姉妹の日常が描かれていて、特に高い山や深い谷がある訳でもなく、多少の人生の決断的な事はありますが最後まで全体的に穏やかな感じで進んでいきます。
大人になると価値観や考え方が子供時代とは変わってくるのは当然。
過去の物事に対して怒りの感情が別の感情に変化したり、今までとは違った行動をとるようになったり。
- 実は同じ職場の医師とホニャララな関係だったけど思い切った決断をした幸
- 男運が悪すぎて仕事に生きる決意をした佳乃
- 相変わらずマイペースな千佳
- 幸と似て色々と抱える性格だったけど心の扉を開いて本音で姉達と接する事が出来るようになったすず
時間の経過と共に成長する人もいれば、逆に退化する人もいます。
人というのは、心によって変わる生き物ですから。
映画『海街diary』は吉田秋生のコミックが原作で全9巻で完結。
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