この作品は理想論者だった秋好が様々な経験から成長して現実も直視するようになったのに対して、いつまでも自分の思い通りの世界を求め続ける理想論者のままの楓が嫉妬してしまう物語。
イメージ的に秋好がこの世からいなくなったようになっているけど、別にいなくなってはいない。
ではどういう事なのかというと、早い話が田端楓という人物の勝手な被害妄想。
映画を観ていて、「えっ秋好生きてるやん!」と思わずツッコまずにはいられませんでしたよ。
『青くて痛くて脆い』あらすじ | 孤独な大学生の独りよがり
人付き合いが苦手な田端楓と周囲から浮いている秋好寿乃という二人の大学生が設立した秘密結社サークル「モアイ」は現在、就活生支援サークルに変貌していた。
秋好がこの世界から去り、自身もモアイを脱退した楓は本来のモアイを取り戻そうと親友と手を組み、ある計画のために動き出す。
【見どころ】秋好は生きています(笑)
- 全ては楓の被害妄想から生じた暴走が原因
- 秋好は楓が勝手に死んだことにしていただけ
- 設立当初と現在では大きく変わっている秘密結社「モアイ」
【登場人物/キャスト】とにかく楓が内向的すぎる
感想(ネタバレ含む)被害妄想以外の何者でもない
人付き合いが苦手でいつも独りぼっちな楓が大学に入学して少し経った頃、誰とでも普通に会話は出来るのだけど理想論ばかり振りかざして周囲から腫れ物扱いされて浮いている秋好と知り合いになる。
楓は彼女が危ない奴だと認定して逃げようとしたけれど、完全にロックオンされてしまった。
その後、友達がいない者同士で一緒に過ごすようになって、入りたいサークルが無いのなら自分で作れば良いという考えの元に「モアイ」というサークルを二人で設立した訳です。
まあここまでは良いのですがね、4年生になった楓はモアイを脱退していて秋好とも疎遠に。
そしてに変貌していた。
一体何があったんや?
秋好と二人で活動していた時期はボランティア活動なんかをして楽しそうだったのに、いつの間にかメンバーが増えていき自分の理想からかけ離れたサークルになってしまったので彼は脱退した。
これはつまり少人数で目立たずに活動したかったのに、いつの間にか大所帯になってしまって元々人付き合いが苦手だった楓は息苦しさを感じて自分から離れてしまったという事。
そこからモアイを歪んだ目でしか見られなくなってしまった楓。
もうこれは、冒頭の秋好と楓のイメージが完全に逆転してしまっている。
完全に楓の方が危ないヤツですよ。
自分の居場所が他の人達に奪われてしまったという妬みや恨みの感情を抱いてしまったパターン。
こういうのを逆恨みというのだと思います。
極めつきは秋好がこの世から消滅してしまったという“妄想”ですよ。
モアイの共同設立者である彼女は昔と変わってしまった、もはや自分の知っている彼女ではないという理由で亡くなった事にしてしまっているというね、自分勝手なひねくれた感情。
楓くん、さすがにそういう考え方は良くないよ。
独りよがりもいいところだし、もう少し前向きに考えないと。
ひねくれるにも程があるで、しかし。
現実を受け入れた秋好との違い
大学入学当初は、「話せばわかる、暴力なんて使わなくても物事は平和に解決できる」と授業中に発言して周囲から浮きまくっていた理想論者だった秋好だけど、4年生になった現在は平和に対する理想は抱き続けているけれど現実を受け入れる事も覚えて立派に成長。
この点が楓との大きな違いですね。
秋好は臨機応変に物事に対応できるようになって人間力が大きく成長してイイ感じになっているのに対して、いつまでも過去の理想にこだわり続ける器の小さな男が楓。
変化を恐れているというか、現実をいつまでも受け入れられないでいる小心者ですよ。
今となっては楓こそが、イタい理想論者に成り下がっている。
自分がイタい事に気付かない楓
『青くて痛くて脆い』という作品のタイトルは別の言い方をすると、『若くてイタくて弱い』といった感じですかね。
いつまでも成長できない、どうしようもない若者。
それこそが、田端楓という男(笑)
一緒に「モアイ」をぶっ潰そうと誘った親友の薫介も関係者と交流するにつれて考え方を改めるし、後輩のポンちゃんだって、「先輩たちは馬鹿ですね。」と楓の考え方が愚かな事を指摘。
味方であるはずの人達からも、現実を見る事の重要性を諭される楓。
自分が勝手な被害妄想で悪いように考えているだけで、現実は全然違うかも知れない。
周囲はそういう事を言いたいのだけど、受け入れようとしない楓。
・・・ダメだこりゃ。
まあ若さゆえの暴走なのかも知れないけど、なんだかなぁ。
RPG(ロール・プレイング・ゲーム)のように様々な経験を積む事で人は成長(レベルアップ)するのは間違いない。
大学生活の4年間で多くの事を経験した秋好と、ずっと自分の殻に閉じこもっていて経験値が乏しい楓の違いは明白。
自分の中の理想の秋好の人物像を後から加入した「モアイ」のメンバー達に書き換えられたことに嫉妬しているという事でしょうか。
実際には秋好が人として成長して大人になったというだけだと思うのですが、楓にとっては変わってしまった彼女を受け入れることが出来なかった感じですかね。
だから自分の中で、この世から消えた事にしてしまった。
もしかすると秋好の本質は実は変わっていないけど、楓の方が捻くれて変わってしまったのかも。
どちらにしても大学4年生でここまで子供じみているのは、いくらなんでも痛すぎる。
ラストで楓は今までの行いを反省したかのような行動をとっているけど、時すでに遅し!?
最後のシーンをどう解釈するかは人それぞれですな。
この作品の原作者は『君の膵臓をたべたい』と同じ住野よるさんです。
映画『青くて痛くて脆い』を配信しているサブスク
サブスク動画配信サービスに加入しても毎日のように映画を観る人は少数派で、オリジナルドラマ・アニメ・バラエティ番組等を視聴する人の方が多いというデータがあります。
ネット配信されている動画コンテンツは多岐にわたるので、好みに合った動画配信サービスを見つけてください。
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