立川志の輔の創作落語が原作となっている映画。
伊能忠敬の日本地図作りの様子を時代劇として楽しめます。
創作なので史実とは違った部分は色々とあると思いますが、伊能忠敬が地図の完成前に死去していたのは事実みたいです。
『大河への道』あらすじ
千葉県香取市役所職員の池本は、知事から直々に日本初の全国地図を製作した偉人・伊能忠敬を主人公にした大河ドラマの誘致を指示される。
池本は大物脚本家の加藤に脚本執筆を依頼するが、その中で伊能忠敬は地図完成の3年前にこの世を去っていた事が判明する。
【見どころ】伊能忠敬本人は不在
- 伊能忠敬の死を隠しながら地図の完成を目指す関係者の奮闘が描かれる人情喜劇。
- 伊能の死を疑った江戸時代当時の役人が部下に調査を命じて危機が迫る!
- メインキャストは現代と江戸時代でそれぞれ二役を演じる。
【主要登場人物 / キャスト】調査員の神田三郎が迫る!
感想(ネタバレ含む)残された弟子たちが命懸けで地図製作
地図の完成を待たずに伊能忠敬が亡くなっていたという事実は映画を観るまで知りませんでした。
最終的に地図を完成させたのは弟子たちという事です。
「大日本沿海輿地全図(通称:伊能図)」を完成させた後にこの世を去ったというイメージが強いですが、そうじゃなかったのですね。
この映画の主人公は伊能忠敬ではなくて、忠敬の死を隠しながら地図を完成させるために奔走した弟子たちの物語。
そもそも伊能先生は亡くなって顔に布を被せられているシーンしか登場しません。
ところで松山ケンイチが演じる市役所職員の木下が「いのう たかだか」と言っていましたが、正確には「いのう ただたか」です。
実は私も少し前まで「たかだか」と思っていたので、木下君に親近感を覚えてしまった。
忠敬の死が幕府にバレると関係者全員が処罰される!
この物語は忠敬が亡くなった後も弟子たちが測量を続けて何とか地図を完成させようと頑張る物語ですが、その為には莫大な費用が必要であり幕府からの援助金なしには何もできない。
しかし当の忠敬が亡くなってしまった事が幕府にバレてしまうと地図製作事業が中止になり忠敬の死が無駄になってしまうと考えた関係者たちは、彼の死を隠しながら幕府から補助金を貰い続けて地図の完成を目指した訳です。
しかしですよ、嘘をついて補助金を貰うという事は「公金の横領」になります。
現代なら逮捕されて刑務所という流れになると思いますが、当時は問答無用で首を斬られるという恐ろしい時代。
それでも弟子たちは忠敬の影武者を立ててまで地図の完成を目指しました。
あと3年ほどで完成という状況なので、もし自分達が処罰される事になるとしてもせめて最後まで成し遂げてからという思いが強かったのでしょうね。
地図製作総責任者の天文学者・高橋景保は忠敬の弟子たちの想いを汲んで偽装工作に協力してしていたのだけど、別の役人が忠敬は実はすでに亡くなっているのではないかと疑って部下に調査をさせるというマズイ状況になります。
調査をしている役人は当然の仕事をしているだけで、悪いことをしているのは弟子たちの側なのだけど、それでも弟子たちを応援してしまいますね。
この地図が完成したおかげでイギリス海軍は日本の測量技術の高さに驚いて植民地化を諦めたとされていて、彼らの功績は計り知れません。
伊能忠敬の地図製作事業が途中で中断されていたら、現代の日本の姿は変わっていたかも知れないという事ですよ。
役人が放った調査員は、散々騙されまくった挙句に収穫なしという結果に終わったのですがね。
調査員の神田さん、お疲れ様です。
実際はどうだったのか分からないけど、あれだけ精巧な地図を製作できる集団なので調査員を騙すのは簡単だったのかも知れませんな。
『大河への道』は創作落語が原作
この作品は立川志の輔の創作落語『伊能忠敬物語 -大河への道-』が原作。
真実の歴史ではどうだったのかは不明だけど、史実を基にしていると言われても違和感を感じない位に内容が良かった。
忠敬さんは地元では敬意をこめて「チュウケイさん」と呼ばれているそうな。
そういえば戦国武将の加藤清正も熊本では「清正公(セイショコ)さん」、大阪では豊臣秀吉が「太閤(タイコウ)さん」と呼ばれて親しまれています。
どの地域も地元の偉人は大切にしているのですね。
太閤さんは愛知県出身だけど、大阪城を建てたので大阪でも人気。
映画『大河への道』を配信しているサブスク
『大河への道』を視聴できるサブスクは複数ありますが、「U-NEXT(ユーネクスト)」なら映画に関連して製作された漫画や文庫本の電子書籍版も配信されているのでまとめて楽しめます。
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