タランティーノ監督『デス・プルーフ』あらすじ・感想 | ヤバい女達にボコボコにされる主人公

主人公がイカレた殺人鬼という斬新な設定。

もちろん観ていて応援してしまうのは主人公ではなく女性達の方ですが、後半は主人公が少し気の毒に思える程に強烈な展開になります。

『デス・プルーフ』の詳細情報
  • 公開年  : 2007年
  • 上映時間 : 1時間 53分
  • 製作国  : アメリカ合衆国
  • 監督   : クエンティン・タランティーノ
  • キャスト : カート・ラッセル / ヴァネッサ・フェルリト / シドニー・ターミア・ポワチエ / ジョーダン・ラッド / ローズ・マッゴーワン / ロザリオ・ドーソン / ゾーイ・ベル / トレイシー・トムズ / メアリー・エリザベス・ウィンステッド 他

『デス・プルーフ』あらすじ

スタント用の改造車で女性達を獲物にする殺人鬼スタントマン・マイク。

新たに見つけた美女達を標的に定め襲い掛かるマイクだが、彼女達はただ者ではなかった。

【見どころ】後半からが本番

前半はスタントマン・マイクの猟奇的な部分が存分に描かれていて、後半はターゲットを間違えたマイクがライオンに追われる草食動物と化す。

【主要登場人物 / キャスト】主役はスタントマン・マイク

  • スタントマン・マイク(カート・ラッセル)
    カースタント用に強化改造された耐死仕様(デス・プルーフ)の車に乗っている男
  • ジャングル・ジュリア(シドニー・ターミア・ポワチエ)
    テキサスの地元ラジオ局のDJ
  • アーリーン(ヴァネッサ・フェルリト)
    ジャングル・ジュリアの親友
  • ウォーレン(クエンティン・タランティーノ)
    テキサス・チリ・パーラー店主
  • アバナシー(ロザリオ・ドーソン)
    映画業界でメイク担当をしている女性
  • ゾーイ・ベル(ゾーイ・ベル)
    ニュージーランドからキム達を訪ねてアメリカに遊びに来たスタントウーマン
  • キム(トレイシー・トムズ)
    ゾーイの親友のスタントウーマン

感想(ネタバレ含む)ゾーイを敵に回してはいけない

映画のタイトル『デス・プルーフ』の意味は耐死仕様の強化改造車という意味。

この車は正面衝突した際に対向車に乗っていた人はもちろんの事、助手席に乗せていた同乗者も犠牲になってしまうという、自分さえ助かれば後はどうでも良い仕様となっています。

とにかくこんなヤバい車に乗って美女の命を狙いまくるイカれた男が主役の作品。
スタントマン・マイクは主役だけど、立ち位置は完全な悪役。

自分の欲望のままに車を使って美女の命を奪い去る事に至上の喜びを感じ、一歩間違うと自分も命を落としてしまうような手法を平気で使う極度の変態。

何なのでしょうね、この男は。
世の中には様々な性癖を持つ人がいるのは分かりますが、スタントマン・マイクの場合は自分も命を落としてしまうかも知れないという極限状態に興奮するのでしょうか?

前半は意味のないガールズトーク

前半はアメリカの女の子達のガールズトークが延々と繰り広げられるのだけど、彼女達が利用している店のマスターを演じているのが監督のクエンティン・タランティーノ。

ハリウッド作品は自分の作品にチョイ役で出演する監督は多いけど、タランティーノも自分の作品に様々な役で登場しています。

それにしてもアメリカ女性のガールズトークの内容がかなりエグい!
日本と何が違うかって、酒だけではなくヤバい葉っぱも普通に吸っているから異状にテンションが高い。

自由の国アメリカって感じがします。

そんな美女達も変態に狙われて退場してしまうのだけど、そこはタランティーノ監督の演出なので退場の仕方もグロですよ、グロ。
走行中の車の窓から足を出しちゃいけないという教訓が得られる貴重な映像が収められています。

このシーンを観て「そういえば、この映画の主役はスタントマン・マイクだった・・・」という事を思い知らされた前半。

前半のクライマックスシーンで生き残ったのはマイクだけ。
そりゃそうですよ、いくら変態でも彼は主役なので退場はしません。

女達に狩られる変態マイク

前半はただの食前酒のようなもので、この映画が面白くなるのは後半に入ってから。

後半は一気に14ヶ月後に切り替わり、新たなターゲットが登場。

しかし新たに登場した美女達がヤバ過ぎる連中で、スタントマン・マイクが前半とは別人になってしまうのが面白かった。

マイクが新しい獲物と見定めた当時に美女達が乗っていたのは普通の車だったけど、襲う時に乗っていたのはダッジ・チャージャー

この車は『ワイルド・スピード』のドミニクが愛車としているモンスターカーです。

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しかも一人をボンネットに乗せながら猛スピードで走行していて、運転手も同乗者も含めて全員が大笑いしている異様な光景。

たごやま
たごやま

マイクはこの光景を見た時点で異変を感じ取らないと・・・。

「アイツらさっきとは違うヤバそうな車に乗ってる。しかも一人はボンネットの上で爆笑してる・・・何やこれ?」
普通はこう感じていったん襲うのを中止して様子を窺わないといけないのに、マイクは変態なので躊躇なくカーチェイスを仕掛けてしまう訳ですよ。

でも襲った相手が悪すぎた。
ボンネットに乗って爆笑していたヤバい女ゾーイは、マイクとは別の方向で頭のネジが飛んでいるスタントウーマン。

運転手のキムもスタントウーマンで高度なドラテクの持ち主で、ボンネットから降りたゾーイは窓から体を乗り出す箱乗りに態勢をチェンジしてマイクを追跡。
しかも道端で拾った鉄パイプを装備。

もうこの時点でヤバい・・・。

スタントマン・マイクという男は、今まで反撃された経験が無かったのでしょう。
追われている時は半泣き状態で、肉食獣に狙われた兎みたいな感じで前半との落差が凄すぎた。

デス・プルーフに負けないタフな車に乗った相手に追われているものだから、優位性が全く無いのでどうしようもなくパニック状態のマイクが哀れでしたよ。

どこまでも追いかけてくる殺意を持ったヤバい女が3人。
同乗者のアバナシーもトランス状態(笑)

想像と違ったまさかの展開に、驚いたと同時にラストは強烈な爽快感!

タランティーノ監督のセンスがスゴ過ぎる映画でした。

ところでダッジ・チャージャーは借りものなのにボロボロにしてしまって、どうするつもりなのでしょうか。
流れ的にマイクに弁償させるのかな!?

『デス・プルーフ』を配信しているサブスク

『デス・プルーフ』をはじめとしたクエンティン・タランティーノの関連作品は斬新な演出が特徴で、他の監督の作品とは明らかに切り口が違います。

  • 主役だからといって生き残るとは限らない
  • 主役なのに悪役の場合が多々ある
  • メインキャラでも普通に退場する

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