不慮の事故で妻を亡くした不器用な男が、周囲の人たちに助けられながら幼い一人息子を懸命に育てていく物語。
舞台が田舎町なので人間関係が濃密で、町の住民全員が家族のような雰囲気なのがとても良かった。
『とんび』あらすじ
瀬戸内の港町で暮らす不器用な男・安男(ヤス)は息子の誕生に幸せを嚙みしめていた。
しかし数年後、突然妻が不慮の事故で亡くなりシングルファーザーとなる。
ヤスは周囲の助け借りながら必死に子育てを続け、高校三年生になった息子の旭(アキラ)は東京の大学に合格する。
しかし子離れできないヤスは、素直に自分の気持ちを表現する事ができなかった。
【見どころ】地域の人みんなで子供を育てる雰囲気が良い
- 不器用ながら必死に一人息子を育てようとする安男
- 安男の悩みを本気で受け止め、協力してくれる仲間達
- 横道に逸れる事なく、父を支えながら勉強も頑張る旭
【主要登場人物 / キャスト】安男は不器用だけど父親として十分合格
感想(ネタバレ含む)破天荒な親でも愛があれば子は真っすぐ育つ
昭和37年(1962年)から始まるので、時代設定としてはずいぶん昔。
終戦が1945年なので17年後ですな。
喧嘩っ早くてしょっちゅう揉め事を起こしている破天荒な男が主人公。
仕事には全力で取り組むのでそこは高く評価できるけど、それ以外の部分は昭和の大阪が舞台の漫画「じゃりン子チエ」のテツのようなイメージを持ってしまった。
ヤスは真面目に仕事をするテツです!
『とんび』の原作は重松清の小説。
- 2012年にNHKが前後編を2週連続で放送
- 2013年にTBSが連続ドラマ化
映画化は今作が初めてとなっています。
この手の作品を連続ドラマ化してしまうと間延びしてしまって途中で観るのを止めてしまう気がする。
人情系の連続ドラマは様々なシーンを長時間かけて深堀り出来るという利点はあるけど、私は主要シーンを凝縮したような映画版の方が好きです。
まあ価値観は人それぞれですけどね。
奥さんが亡くなってしまい突然シングルファーザーとなったヤスだけど、息子のアキラにたっぷりと愛情を注ぎながら男手ひとつで立派に育て上げる。
アキラの少年時代はある意味ヤバい時代というか不良の全盛期みたいな感じだったと思うけど、よく真面目に育ったものですよ。
そこはやはり優しい母親の遺伝子をしっかり受け継いでいるという事でしょうかね。
あとは一人っ子という事も影響しているのかも知れない。
父親のヤスが不器用だから、心配で不良なんかになっている暇がないアキラ(笑)
周囲の大人たちの存在が大きかったというのも間違いないですね。
ヤスだけに子育てを任しておいてはアキラが心配なのでたえ子が母親代わりになり、照雲が親戚のおじさん、海雲が祖父のような存在として非常に大きな役割を担っている。
現代では他人が子育てに口出しをしたら迷惑がられるけど、当時は周囲の大人が知り合いの子供におせっかいを焼くのが当然のような風潮。
地域ぐるみで子供を育てるという古き良き時代の文化は都会ではもはや失われてしまったけど、まだこのような雰囲気が残っている地方もあるでしょうね。
近年は地方に移住して子育てをしたいと考える夫婦が増えているみたいだけど、もしかすると都会で孤立するよりも、困っている時は互いに助け合う「おせっかい」な文化を求めているのかも知れませんね。
愛すべき不器用な男・ヤス
ヤスは息子のアキラの事が大好きだけど、感情を表に出すのが苦手で子供のような男。
- 母親(妻)が亡くなった理由は、自分が原因だとアキラにウソをつく
- 喧嘩をして険悪なムードになると、仲直りの為にケーキを買って帰る
- アキラの東京行きに難色を示していたのに、大学合格を知ると隠れて大喜び
- アキラが上京する日は寂しくてトイレに籠城!
そりゃね、こんな父親と一緒にいたら真っすぐに育ちますよ。
ヤスさん、あんた最高の父親やで。
もしかするとヤスが子離れできなかったのは、アキラの中に亡くなった奥さんの面影を本能的に感じていたのかも知れませんな。
最終的にアキラは東京で大きな男に成長。
これは間違いなくヤスの育て方が正しかったのと、周囲の大人たちのお陰。
ヤス以外で特に存在が大きかったのは照雲。
この人がいなかったら、アキラの人生は大きく変わっていたはず。
それはそうと、海雲を演じていた安田顕の喋り方が「実写版 銀魂」の大声アニキ・村田鉄矢の雰囲気があって思い出して笑ってしまった。
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※安田顕が演じた村田鉄矢が喋るシーンは爆笑必至!
『とんび』の瀬々敬久監督は、他の作品でも泣かせる作品が多いです。
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※東日本大震災が起点となっているヒューマンドラマ。
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※平成生まれの男女が何度もすれ違いと巡り合いを重ねる。
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