「少年の淡い恋心」と「大人の女性の悩み」が46分という短い時間の中に描かれている素晴らしいアニメ作品。
そして内容もさることながら目を引いたのは美しい映像。
梅雨時の雨の描写が本当に綺麗で、画面を停止してしばらく見入ってしまった。
新海誠監督による『言の葉の庭』は『君の名は。』の一つ前の作品になります。
『言の葉の庭』あらすじ
靴職人を目指す高校生タカオは、雨の日に決まって学校をさぼり訪れる公園で謎の女性と出会う。
それ以来雨の日にだけ公園で交流を重ねた二人は、次第に心を通わせていく。
【見どころ】一回り年齢が離れた男女の交流
- 靴職人の夢を叶えるために未来に向けて歩むタカオ
- 人生に行き詰まり歩みを止めたユキノ
- 真っすぐに将来を見据える少年と、人生を見つめ直す女性の対比
【主要登場人物 / キャスト】高校生らしからぬ大人びた少年タカオ
感想(ネタバレ含む)人生は選択の連続
作品を観終えた感想として、二人の間に芽生えた感情は「友情」に近い気がする。
タカオが抱いていたのは恋愛感情だったけど、ユキノは一回り近く年下の少年に対して心理的に壁を作って全てをさらけ出す事なく一歩引いた態度で接していたので、ある意味すれ違いの関係。
ユキノが抱えていた悩みは最近知り合ったばかりの少年には打ち明け辛いものだし、授業の担当はしてないとはいえ同じ学校の教師と生徒の関係ですからね。
高校1年生のタカオにとっては、日常生活の一日一日が大人になる為の勉強のようなもの。
現在は1年生だけど、来年は2年生に進級して・・・とステップアップして行く。
普通に生きているだけで経験値がどんどん貯まっていき、いつの間にかレベルアップしている。
そうやって人は成長していくのだろうけど、どうしても乗り越えられない壁が目の前に立ちはだかった時にどういう選択をするかですよね。
タカオにとってそれはまだ先の話だけど、ユキノは現在進行形で悩みまくっている。
最終的に現在勤めている学校を退職して一旦実家に戻るという選択をする訳ですが、乗り越えられない壁は無理に登ろうとせずに多少遠回りになっても別の道を探せば良いだけの事ですよね。
ユキノの選択は正しかったと思う。
タカオと出会った時点で彼女は半分壊れかけてましたからね。
たぶん彼女は大人だから自分で逃げ道を見つける事ができたのでしょう。
真っすぐに進むだけが人生じゃない!
大なり小なり何かしらの失敗を繰り返しながら人間は強くなっていくと思うので、挫折したら一度立ち止まって、その間に再び歩き出せるようにリハビリをすれば良い。
タカオにもいつか理解できる時が来る、経験から色々と学ぶんやで。
タカオとユキノの精神年齢は近いのかも知れない
片親家庭でしっかり者のタカオと優しい性格でおっとり系のユキノは、実年齢は離れているけど精神年齢は案外近い感じがします。
出会った当初はタカオの事を子ども扱いしていたけど、最終的に信頼できる一人の人間として見るようになって感情を爆発させたユキノ。
ユキノが本心をさらけ出すきっかけになったのは今まで大人びた態度を取っていたタカオが年相応の少年らしい一面を見せたからですが、そのシーンがまた良いんですよ。
この瞬間に年齢の壁が取り払われて、二人は対等の関係になれた気がする。
46分という短時間に色々と詰め込まれた素晴らしい作品でした。
主題歌の「Rain」は大江千里の曲を秦基博がカバー。
これがまた作品の雰囲気とピッタリで、余韻に浸れる最高のエンディングテーマ曲でした。
また来年の梅雨の時期になると「言の葉の庭」を観てしまう気がする。
ところで、ユキノが実家に帰ってからの足取りやタカオのその後、ユキノが精神を病むきっかけになった張本人の相沢など映画では少しだけしか描かれなかった他の登場人物の事は小説版を読むと理解できます。
アニメ映画『言の葉の庭』を配信しているサブスク
『言の葉の庭』は様々なサブスク動画配信サービスで配信されていますが、幅広い動画コンテンツを楽しむには「Amazonプライムビデオ」または「U-NEXT(ユーネクスト)」がオススメ。
日本テレビ系の「Hulu」は映画の他に過去の日テレ系ドラマやアニメを楽しめて人気ですが、無料お試し期間が無いのが痛いところ。
しかし同時視聴できる端末数が4台なので他のサービスに負けていません。
※1つの契約で4つ端末(テレビやスマホ)で同時に視聴できるので家族全員で楽しめます。
サービス名 | 月額料金(税込) | 同時視聴できる端末数 | 無料お試し期間 |
---|---|---|---|
U-NEXT | 2,189円 | 4台 | 31日間 |
Hulu | 1,026円 | 4台 | ✕ |
Amazonプライム | 600円 | 3台 | 30日間 |
新海誠監督による『言の葉の庭』の次回作『君の名は。』でユキノらしき先生が登場しますが、本人かどうかは定かではありません。
同一人物かどうかは観た人の想像に任せるスタンスのようです。
そして、さり気なくタカオの姿も確認できます。