1985年にリリースされたWHAM!(ワム!)の名曲「ラスト・クリスマス」をモチーフにしたロマンチック・コメディという触れ込みだけど、どちらかというと感動的な要素が強い映画。
前半を見ただけではコメディだけど、物語が進むにつれて主人公のケイトが変わっていく様子が見ていて微笑ましかったです。
『ラスト・クリスマス』あらすじ
クリスマスショップで働く人生迷走状態のケイトは、仕事中に出会った不思議な青年トムに悩みを打ち明けていく内に彼に惹かれ始める。
【見どころ】不思議な青年トムとの出会い
- 脚本(シナリオ)は歌詞に基づいている訳ではなくオリジナル
- 主人公のケイトはビッチ系
- ケイトの前に現れた不思議な青年トムの正体は!?
【登場人物 / キャスト】トムとの出会いで変わっていくケイト
感想(ネタバレ含む)「ラスト・クリスマス」は失恋ソング
ケイトは実家を飛び出してキャリーバッグを引きずりながら街を彷徨ったあげく、初対面の男の家に泊めて貰ういわゆるビッチ系なんですよ。
家族と折り合いが悪く実家に帰りたくないものだから、泊めてくれる友達がいない場合はバーとかで出会った男の家にも平気で泊まってしまう困った娘。
母親が何度も電話をかけているのに応答しないし。
勤務先のクリスマスショップでも、最近は適当な感じで仕事に身が入っていない。
母は心配症で鬱状態、父はタクシー運転手だけどあまり家に帰りたがらない、姉は独立して実家を出ているけど姉妹の仲は悪い。
ケイトは歌手志望で、オーディションを受け続けるも落ちまくり。
なにも良い事が無いどん底の精神状態の彼女。
気持ちは分からなくもないけど、もうちょっとシャキッとしないと。
人生迷走中のケイトは仕事中に出会った妙な青年・トムによって徐々に変わっていきます。
トムは角を曲がったり人とすれ違う時にミュージカル調に回転したりするちょっと不思議な人物。
知り合いにこんな動きをする奴がいたら、私ならとりあえず距離を置きますけどね。
変な動きはともかくトムは言動がいつも前向きで、落ち込んでいるケイトをいつも励ましてくれる好青年。
ケイトが嫌な目に遭った時に、どこからともなく現れて悩みを聞いてくれる。
トムって、もしかして妖精かな?
一体この男は何者なのか。
どうやらホームレスを支援する施設でボランティアスタッフをしているらしい。
何度も会っている内にトムに惹かれ始めたケイトは思い切って施設の中に入ってみるけど、トムの姿はなくスタッフに聞いても知らないとの事。
やっぱり妖精かな?
ケイトはトムの影響で色々と変わってきました。
まず家族との関係。
母親と積極的にコミュニケーションを図るようになったり、疎遠だった姉には自分の過去の言動を謝罪したりして家族の絆が戻り始める。
ちなみに父親は影が薄いけど、元々ケイトとは仲良し。
仕事にも真剣に取り組むようになり、オーナーの恋の仲立ちをするなど他人に対して気遣いが出来る性格になった。
これですよね。
今まで自分勝手でわがまま放題だったけど、他人の気持ちを考えられるようになったという事。
間違いなくトムのお陰ですな。
この期に及んでまだ正体不明の怪しい男だけど(笑)
ラスト・クリスマスの歌詞
この映画のモチーフになったラスト・クリスマスという曲の歌詞は、前年のクリスマスに心を捧げた相手に振られてしまった人が前を向こうと決意を新たにする内容。
これって想いを綴っているのが、男なのか女なのかどちらなんでしょうか。
Wham!は男性デュオなので、やはり男性目線でしょうかね。
歌詞の日本語訳の一部を検証してみます。
今年は昨年と同じ失敗をしないように特別な他の誰かに心を捧げる。
つまり反省した訳ですよ。
とはいえ、まだその相手が気になる。
もし今キスをしてくれたら自信が揺らいでしまいそう。
未練タラタラやないか!
今は真実の愛を見つけた。
しかしもう去年のように騙される事は無いと自信あり気。
成長の跡が見える。
でも、最後の方の歌詞は何だかオカシイ。
来年こそは特別な誰かに心を捧げる。
いやいや、今年はどうするんや!?
歌詞の日本語訳の一部を抜粋しただけなので何だかよく分からないと思いますが、まとめてみると去年は好きだった相手に心を捧げたけど、その人は他の誰かを好きだったので失恋という形に。
この人は片思いだったという事ですね。
そして一年経ってみて、その相手にまだ未練があったけど何とか断ち切った。
今の自分は真実の愛を見つけたので、今度はその相手に心を捧げる所存。
・・・ここまでは良いんだけど、歌詞の中に来年は他の誰かに心を捧げるという部分がある。
今年は去年と違う特別な人に心を捧げると言っているのに、どうして来年という言葉が?
真実の愛を見つけたという相手と、来年も一緒にという意味でしょうか。
それとも特別な相手なんか見つかっていなくて現在はフリーな状態だけど、来年こそは特別な相手を見つけるぞ、という決意表明なのかもしれない。
失恋ソングだけど、どちらにしても悲しい経験を乗り越えて最後は前向きな内容ですね。
私が勝手に解釈しているだけで、本当の歌詞の意味は分かりませんけど。
大女優エマ・トンプソンが脚本を担当
この曲の歌詞をモチーフに脚本を書いたのは、母親役のエマ・トンプソン。
要所要所で出てくると思ったら、ただの出演者じゃなかったんですな。
アカデミー主演女優賞など輝かしい実績を持つ大女優です。
コメディで始まって、中盤からロマンチック路線になりそうで最後はファンタジー。
I gave you my heart(君に心を捧げた)
確かにその通り、この部分がポイント。
ケイトは何をやっても上手くいかず自堕落な生活を送っていたけど、トムと出会ってから考え方や価値観が変わり、昔の自分から脱却して成長した。
過去の失敗を乗り越えて、大切なものを見つけたという事ですね。
時間が100分ちょっとなのでちょうど良いテンポだし、最後は晴れ晴れとしたさわやかな気分になれる良い作品だと思います。
そういえば、迷走中の女性が大切なものを見つけて成長する物語という事なら『プラダを着た悪魔』に通じるものがありますね。
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映画『ラスト・クリスマス』を配信しているサブスク
クリスマスなどの季節をテーマにした映画は動画配信サービスが特集を組んで期間限定で集中的に配信する場合があるので、ふと気になった時にサブスクの公式サイトを訪れてみると観たかった映画が見放題で配信されているかも知れません。
『ラスト・クリスマス』は「U-NEXT」や「Amazonプライムビデオ」で配信されています。
※最新の配信状況は入会前に公式サイトで確認してください。
サービス名 | 月額料金(税込) | 同時視聴できる端末数 | 無料お試し期間 |
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U-NEXT | 2,189円 | 4台 | 31日間 |
Hulu | 1,026円 | 4台 | ✕ |
Amazonプライム | 600円 | 3台 | 30日間 |
名曲を題材にした映画といえば、現在では本当の夫婦となった菅田将暉・小松奈々共演の邦画『糸』もオススメ。
中島みゆきの曲の歌詞をモチーフにした作品です。
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